6.宗教不問の墓地だと聞いていたのに話がちがう!

悪徳業者により様々なトラブルが発生
お墓づくりの現場では、実にさまざまなトラブルが発生しています。
お墓や墓石に関する、消費者側の認識不足によるもの、
霊園との契約内容が原因で起こっているもの、
墓地を所有するお寺とのもめごとなど、その内容は多岐にわたります。
消費者問題における中核的機関である「国民生活センター」や、
全国に設置された「消費生活センター」の相談窓口には、
連日、数多くのお墓に関係するトラブルについての相談が持ち込まれているということです。
首都圏の消費生活センターを例に挙げると、最近の相談内容の傾向として、
一部の悪質な業者に、詐欺まがいの手口でお金をだまし取られたり、
代価に見合わない、質の劣る墓石を購入させられたりした消費者からの、
電話が少しずつ増加しているということです。
10年ほど前までは、自宅に訪問してきた業者から、
墓石や霊園を購入した方からの相談が多く寄せられていたとのこと。
自宅にやってきたセールスマンによって即日契約を迫られ、
その後、料金の返還やクーリングオフ制度をめぐって
さまざまなトラブルに発展するというケースです。
そうしたトラブルが、あちこちで頻繁に発生し、
マスコミなどで取り上げられる機会が増えたことにより、
消費者側のお墓に対する危機意識が高まりました。
その影響で、墓石業界における訪問販売というスタイルそのものが下火になり、
ここ数年で訪問セールスに関する相談はなくなったとのことです。
しかし、それに代わって、消費者の知識不足などにつけ込んだ、
悪質な石材店による、トラブルの事案が増加しており、
中には詐欺としか思えないようなものもあるとのことです。
また、国民生活センターでも、ここ最近の相談では、
業者による墓石の産地偽装や、瑕疵のカムフラージュ、
注文を受けているにもかかわらず、墓石を建立しないなど
極めて悪質な事例が目立つとのことです。
【事例.1】「宗教不問」の墓地だと聞いていたのに?
寺院の境内にある墓地を購入しました。
契約時に石材店の説明では、そこは寺院の敷地内にあるが、
檀家になる必要のない「宗教不問」の墓地だということでした。
後日、墓石の建立のために工事をお願いしようとすると、
お寺の住職から、お墓を建てるのであれば、
檀家になってもらわなければ困ると言われました。
すぐに石材店に確認をすると「墓地の購入に際しては檀家にならなくてもよいが、
お墓を建てるには檀家になっていただく必要がある」
「墓石の建立に至るまで宗教不問とは言っていない」という説明でした。
「話が違う!とても納得できません!」(50代男性)
【解説】墓地を購入する前によく確認を!
お寺の境内にある寺院墓地を購入して、お墓を建てるには、
ほとんどの場合、そのお寺の檀家にならなければなりません。
しかし、わずかではありますが「宗教不問」の寺院墓地もあるようです。
今回のケースでは、過去の宗教・宗派には不問ですが、お墓を建立する際には、
その墓地の経営主体である、寺院の宗派に属することが購入の条件である、
「過去の宗旨・宗派不問/要入檀家」という条件にもかかわらず、
この業者は「宗教不問」とだけ説明し、顧客を集めているようです。
「墓石の建立に至るまで宗教不問とは言っていない!」とは、
なんという屁理屈で理不尽な説明でしょう。
業者も業者ですが、このような石材店を「指定石材店」として、
指名している、お寺側にも問題があるのではないでしょうか。
中には誠実さを欠いた、このような業者もいますので、
墓地を購入する前に、詳しく確認する必要があります。
【参考文献】「霊園ガイド・2011上半期号」(株式会社六月書房発行)