5.「指定石材店制度」の問題点?

ここでは、指定石材店制度が抱える問題点を、
消費者側からみた場合について考えてみましょう。
1.指定業者が明示されていない
◆霊園の指定石材店名の一覧が、
見学者から分かりやすい場所に明示されていない。
一部の民営霊園では、管理棟の入口や霊園内に、
指定石材店の社名が書かれたプレートや、看板等を掲げている場合もありますが、
ほとんどの霊園では、指定石材店名の明記はされておりません。。
…というより、「指定石材店制度」なるものが存在することすら、
一般の消費者には知らされていないのが現状です。
2.担当する石材店はすべて売り手の都合で決定
◆来園した見学者を担当する石材店の順番が、
売り手側の都合で事前に決められている。
前回のブログでもお話しましたように、
霊園内の待機所では、各石材店の営業担当者が、
見学者が来園されるのを待ち構えています。
そして、来園した見学者をどの石材店が担当するかは、
石材店同士で取り決めた順番によって決定されます。
そこに消費者側の意思は全く反映されません。
3.指定業者の実力にバラツキがある
◆霊園に参画している石材店の規模・力量・キャリア・実績にバラつきがある。
一つの民営霊園に参画している石材店は、数社から二十数社にもなります。
それらの石材店には、社長自らが石材の選定をし、
お客様のご要望に応じて、自社でデザインから設計までを行ない、
墓石を製作している、従業員が数人という小規模な会社もあれば、
全国にチェーン展開をしている大手石材店まで、その規模はさまざまです。
もちろん、それらの会社が作る墓石の品質や施工技術、
工事内容、営業マンの力量、そして、デザイン的センス等もバラバラです。
なのに、それらが同等の資格を有しているところに問題があるのです。
そのため、霊園によっては、担当する石材店による、
デザイン力、提案力、技術力などの差が出ないようにするため、
霊園側(実際は指定石材店内で協議して決定されている)が、
あらかじめ、墓石に使用する石材の種類、墓石のデザイン等を、
その霊園の規格商品として定めているケースも数多くあります。
(もちろん、どの指定石材店で購入しても価格は同じです)
こうすることにより、複雑なデザインでの設計依頼や、
担当石材店の営業マンが知らないような、珍しい石材での注文があっても、
「霊園の規定で定められた墓石しか建てらません」と断るしかなく、
個々の石材店や、営業マンの力量を均等化するためです。
消費者の要望どおりのお墓が建てられない民営霊園がかなりあります。
4.担当になった石材店はいかなる理由があっても変更できない
◆消費者の意思で担当の石材店を変更できない。
また、他社と比較検討することも認められない。
売り手側の「順番」によって担当石材店が決まってしまうと、
その霊園ではその石材店以外の業者では、
お墓を建てることができなくなります。
担当者の態度が悪い、知識が乏しい、説明が不明瞭、
見積りの価格が不透明などの理由で、
消費者側が、石材店を変更したいと希望しても認められません。
そればかりか、施工工事価格の違いや、墓石のデザインの
優劣を他社と比較することすらできないのです。
【参考文献】「霊園ガイド・2011夏号」(株式会社六月書房発行)