お墓と宗旨・宗派①宗派について
お墓を建立したら、納骨をする際に墓石に魂を入れる
「開眼法要(かいげんほうよう)」というお式を行います。
仏教では、お墓は建てただけでは、
ただの「モノ」に過ぎないとされています。
それが、開眼法要を修めることによって、
仏様の魂が墓石に入り、ただの「モノ」から仏塔になるのです。
開眼法要は地方によっても呼び名が異なり、
「開眼供養」「入魂式」「魂入れ」「お性根入れ」
などと、呼ばれることもあるようです。
既にご遺骨がある場合には、関係者の都合のいい日を選び、
「納骨法要」と合わせて行なうことが多いようです。
この、「開眼法要」の際に読経をお願いするのが、お寺の僧侶です。
通常は、その家の宗旨・宗派の菩提寺に依頼するのが一般的です。
宗旨・宗派については、浄土宗や天台宗など、
日本には多くの仏教宗派がありますが、
これを、ひと口に「十三宗五十六派」と言っています。
つまり、十三の宗派とその分流の五十六の流派があるということです。
先ずは、奈良時代から続いている宗派に華厳宗(けごんしゅう)、
法相宗(ほっそうしゅう)、律宗(りっしゅう)があります。
華厳宗は東大寺を大本山として50ヵ寺ほど、
法相宗は薬師寺や興福寺を大本山に20ヵ寺ほど、
律宗は唐招提寺を大本山として26ヵ寺あります。
平安時代に開かれた宗派としては天台宗と真言宗があります。
天台宗は最澄によって開かれ、比叡山・延暦寺が総本山。
真言宗は空海が開き、高野山・金剛峯寺を大本山としますが、
時代が下がると、多くの流派に分かれ、真言十六派と呼ばれています。
このほか、平安時代には融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)という、
浄土系の宗派が良忍という僧侶によって開かれました。
鎌倉時代になると、新たな宗派の創設ラッシュとなり、
この時代に仏教は民衆の間に普及し、多くの要望を聞き届けるために
さまざまな宗旨が設立されたのであります。
まず、浄土系では法然上人の浄土宗、
親鸞聖人の浄土真宗、そして、一遍上人の時宗が開かれました。
また、鎌倉時代のはじめに栄西が中国から臨済宗を伝え、
これが、日本への禅宗の初伝になりました。
さらに、栄西の弟子、道元が中国に留学して曹洞宗を伝えました。
臨済宗は京都の南禅寺派や鎌倉の建長寺派など14の流派に分かれています。
また、曹洞宗は福井の永平寺を大本山としましたが、
後に鶴見(横浜市)の総持寺が同格の大本山となりました。
また、日蓮上人は『法華経』を絶対の教えとして、日蓮宗を開きました。
江戸時代には、黄檗宗(おうばくしゅう)が開かれ、
京都の宇治万福寺が大本山になっています。
これらを合して十三派、さらにそれぞれの宗派が
多くの流派に枝分かれして、五十六派と呼ばれています。
戦前、宗教団体法以前に公認された仏教宗派は13宗56派ありました。
しかし、現在では、13派のもとにさらに多くの流派があり、
160ほどの仏教宗派が存在しているといわれています。
また、戦後になって独立し、単立寺院として存立しているところも少なくありません。
たとえば、奈良の法隆寺はもともと法相宗だったが、
聖徳太子と関わりが深いことから、聖徳宗と改めています。
さらに、聖徳太子建立の寺院として知られる大阪の四天王寺は和宗を名乗っています。
浅草の浅草寺は天台宗だったが、本尊の聖観音にちなんで、聖観音宗に改めました。
次のコラムからは、それぞれの各宗派について詳しく書かせていただきます。
~つづく~
※引用文献:日本石材工業新聞 第1889号
【墓石建立可能地域】
・兵庫県・神戸市及び関西地方
・東京周辺の首都圏
・関東地方
・中部地方
・北陸地方
・近畿地方
・中国・四国地方
・九州地方(沖縄、離島を除く)