【朝日新聞取材掲載】「お墓のイロハ㊤2024.6.5」(株)第一石材/兵庫県神戸市
“人生100年時代。シニアライフを明るく充実したものにするためには、どんな準備が必要なのでしょうか。くらしの様々なテーマについて、その道の専門家から「イロハ」を学びます。”というテーマで、朝日新聞社が兵庫県版連載記事としてスタートした新企画「○○のイロハ」。
当社、第一石材代表の能島孝志が、「お墓のイロハ」(㊤㊥㊦の3週連続)というタイトルで取材掲載をしていただきましたので、以下原文のままご紹介させていただきます。
先ずは、第1回目の掲載(2024年6月5日朝刊)「お墓のイロハ㊤」です。
- まずは墓地選び。公営でも金額に地域差。
- 石材店を選べない民営霊園も。
- 墓石は宗派を問わず洋型が人気。
目次
1.後悔しない墓選び|公営でも金額に地域差|1級ディレクターのススメ
人生の終わりについて考える「終活」。中でも、お墓をどうするかは難しい。
先祖や子孫のことを思うと、自分だけで決めていいのか迷うことも多い。
そこで、日本石材産業協会が認定する「1級お墓ディレクター」の能島孝志さん(68)に、後悔しないお墓の選び方を教えてもらった。
お墓ディレクターという資格があるのを初めて知りました。
三浦記者
お墓を建てるのは家を買うのと同じで、一生に何度もない大きな買い物です。
家を建てる時は、住宅会社にしっかり希望を伝えると思います。
でも、お墓選びになると業者任せの人が多いのです。
1995年1月の阪神・淡路大震災では多くの墓石が倒れました。
その修復に加え、多くの方が亡くなり、新たな墓地も増えました。
当時、私はある石材会社の営業部長でしたが、当時、お墓は松竹梅と3種類ぐらい用意して、その中から選んでもらうのが業界の常識でした。
売れればいいという風潮に疑問を感じた私はその年の4月に独立しました。
2015年の調査ですが、国民生活センターに寄せられた墓石関係の相談は1192件でした。
仏壇関係608件、葬儀関係617件の倍近く。
消費者にとって、お墓はわかりにくい商品で、そこにつけ込んだトラブルが多いのは残念ながら事実です。
安心して相談できる人を増やそうと、日本石材産業協会は2004年、「お墓ディレクター」という資格を新設しました。
お墓の種類や歴史、墓地、埋葬などの幅広い知識を問う検定試験に合格した人に資格を与えており、23年現在、兵庫県には1級が50人、2級が169人います。
能島孝志
最初に何を検討したらいいのでしょう?
三浦記者
まずは墓地選びです。普通は永代使用料を払って土地の使用権を取得します。
一般的な墓石を建てるのに必要な土地は約3平方メートルですが、公営でも自治体によって使用料は違います。
芦屋市は立地の良さもあって225万円と全国でも有数の高額で、神戸市は72万円、宝塚市は約70万~90万円。
地方では15万円程度の自治体もあります。
どこに建てるかによって費用はかなり変わります。
民営で注意しないといけないのは、「指定石材店制度」を採っている霊園が多いことです。
霊園が指定した石材店で墓石を買わなければならず、自由に選べない制度です。
例えば、飲食物持ち込み禁止のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの中で食事したければ、園内の飲食店で買わなければなりませんが、園内には複数の飲食店があるので、そこから気に入ったものを選べます。
ところが、指定石材店制度の霊園の場合、契約している石材店が複数あっても、順番に割り当てられ、買い手は選べません。
サービスや価格の比較検討ができないので、希望に合った石材店か契約前にしっかり確認してください。
能島孝志
2.墓石は宗派を問わず洋型が人気
場所が決まったら、墓石選びですね!
三浦記者
日本で現在のような個人や家の墓が建てられるようになったのは江戸時代からです。
その後、昭和の時代までは、昔ながらの角柱型の「和型墓石」が主流でした。
一方、横長の「洋型墓石」はキリスト教のイメージがありますが、最近は宗派を問わず、洋型を選ぶ人が増えているようです。
京都、奈良と歴史のある街がある関西では、まだ新しい墓の半数以上が和型ですが、東京では6割以上が洋型、九州も洋型の方が多いようです。
お墓にも個性を求める人が増え、デザインの自由度が高い洋型が人気です。
重心が低く、地震でも倒れにくいのも安心です。
さらに10年ぐらい前からは、従来とはまったく違う、新しいスタイルのお墓も急増しています。
次回は、それらについてお話ししたいと思います。
能島孝志
(構成・朝日新聞記者/三浦宏)
3.墓地の種類
(1)公営墓地
市営霊園など地方自治体が管理運営している墓地。
役所に申し込む。運営は安定しており、民間に比べて費用も安いが、競争率が高く、抽選になることも。
「自治体内に現住所があること」などの資格制限がある場合もある。
(2) 民営霊園
宗教法人や財団法人などの公益法人が許可を受けて管理運営している墓地。
宗教法人の運営でも宗派は問わず、居住地などの制限もほとんどない。
区画面積や墓石デザインなども比較的自由に選べる。駐車場や休憩室など設備が充実している霊園も多い。
(3)寺院墓地
寺院が所有、管理運営している墓地。
多くが市街地にあり、利便性が高い。
住職がいるので、安心して管理を任せられる。
その半面、同じ宗派でなければならず、お布施などの負担義務がある場合もある。
墓石のデザインも自由にできないことが多い。
(4)みなし墓地
1948年の「墓地、埋葬等に関する法律」施行前から存在し、現行法上の許可を受けていないが、受けたものとみなす墓地。
昔の村の共同墓地や自治会墓地、個人墓地などがある。
自宅に近い場合が多いが、設備や管理、規定は様々。大規模な募集も少ない。
1955年生まれ。「第一石材」(神戸市)の社長で、全国約1100社が加盟する国内最大の石材関連業界団体の一般社団法人「日本石材産業協会」理事。今年4月、これからのお墓のあり方を提案する、同協会の「お墓未来プロジェクト」委員長に就任した。
能島孝志(のじま・たかし)さん
※「「お墓のイロハ㊤」は、朝日新聞デジタルでもご覧いただけます。
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