1.”ごまかし加工”が行われる中国産墓石の背景
近年では、市場に流通しているお墓の大半は、
皆様の自宅の近くの石材店がつくっているのではなく、
石材商社を通じて中国の石材加工工場でつくられ、
完全に出来あがったお墓として石材店に届けられているのです。
この、中国産墓石の流通システムが製品のバラつきの要因の一つとなっています。
この件ついては、私が投稿させていただいております次のブログに、
詳しく書かせていただいておりますので、是非ともご覧になってください。
■「あまり知られていないお墓の流通経路」について詳しくはコチラまで
https://daiichisekizai.com/story/cat_cat3/
墓石は規制法律のない商品である
さて、今回からはこの”製品のバラつき”が中国石材加工工場における、
石職人の技術的な問題や不可抗力によって生じたものではなく、
意図的な「ごまかし加工」によることについてのお話をさせていただきます。
お墓の材料として使用される石は、自然の大地から採掘されます。
様々な鉱物の結合により形成されており、キズや色むら、斑点などもあり、
当然すべてが均一に整った石目・色目ではありません。
そうして採掘された原石のうち、実際に墓石として使用できるのは、
採掘された全体量の、約半分から8割程度です。
世界一の銘石と称される、香川県産の「庵治石細目」に至っては、
最高級墓石として市場に出されるのは、全体の約3%しかありません。
日本では古来より石職人が、これらの石からキズや色ムラのある部分を避け、
均一の石目・色目の部分だけを選り分けてお墓づくりをしてきました。
それゆえに、お墓は国産の石材しか無く、非常に高価なものでした。
ところが、1990年代の頃から中国で墓石の加工・製作が始まりました。
これにより、お墓は高価なものだけではなく、
「墓石セット○○円!」といった、お手頃価格の中国産墓石が市場に出てきました。
ここまでなら、何の問題も無かったのですが、
より安価なものを求める消費者に応えるためと、
売り手側がより多くの利益を追求しようと考え、
本来ならば使わないような石に、熱処理や薬品を使用し、
キズや色ムラなどを隠し、染料で着色を施し製品に仕上げるなど、
様々な”ごまかし加工”が行なわれるようになりました。
近年世間を騒がせた、建築耐震偽装事件や数多くの食品偽装事件と同じです。
しかし、厄介なことに墓石業界には、「建築基準法」や、
「食品衛生法」のような規定法律が無いため、
現在でも中国の石材加工工場では、当たり前のように、
“ごまかし加工”を行っているところも決して少なくありません。
石は何万年、何億年と、長い年月を経て形成され、
人間が自然界から授かった貴重な天然資源です。
人間の体にホクロなどがあるように、石にも様々な部分があるのは当然です。
しかし、消費者側からすると、いくら自然のものといえど、
キズや色ムラ、斑点などがあるお墓を買うことは許せないことです。
だが、買う側からすれば「価格は安い方がいい!」
だからといって、”ごまかし加工”がいいとは言えませんが、
このあたりに、「お墓のごまかし」が行なわれる背景があるのです。
お墓は「高ければ良い」というものではありませんが、
他の商品と同じく、極端に安すぎるものに良いものはあまりありません。
※掲載の画像の墓石と「お墓のごまかし加工」とは、一切関係ありません。