5.中国でお墓をつくると良くないの?
中国でお墓をつくると良くないの?
近年においては、お墓の製造も、電化製品や衣料、日用品、
その他多くの工業製品と同様に、大部分が中国でつくられています。
別に、中国及び、他の新興国でつくったものを、
輸入することが、決して悪いことではありません。
しかし、それらの私たちの身のまわりの製品の多くは、
ライン化された工場にて、画一化された製品を大量に製造していくのに対し、
お墓の場合は、自然の大地から生まれた天然の石を、
個々のお客様の注文に応じて、それぞれ違った形や大きさのお墓を、
石職人の手仕事にて、つくり上げていくというところが大きく異なります。
ましてや、天然石という性質上、色目・石目等が、
すべて同じという石は、この世に二つと存在しません。
そこにお墓の加工・製作の難しさがあるのです。
では、個々の石材店が中国へ行き、原石を選定し、
優れた技術を持った石職人がいる工場を指定して、
お客様から受注したお墓の製作を依頼しているのでしょうか?
もちろん、そのようにして中国でお墓をつくっている石材店もごくわずか
(弊社を含み全国で1%未満ではないかと思います?)ですが存在します。
だが、ほとんどの場合はおそらく数百社以上あるのではないかと思われる、
「石材商社」と呼ばれるお墓専門の問屋さんに製作を依頼するのが通常です。
お客様に販売する商品を、小売店が問屋さんから仕入れる。
ごく当たり前の、特に何も問題の無い日本の古くからの商習慣です。
私たちの身の回りにある一般的な商品ならその通りでしょう。
しかし、お墓の場合はちょっと違ってきます。
それは、前述のとおり、色目・石目の異なる自然の石を使って、
それぞれ異なる形とサイズのお墓を、人の手でつくるという点です。
さらに、その石材商社が、中国国内に千件近くある石材加工工場の、
どの工場に、注文を受けたお客様のお墓の製作を依頼しているかは、
お客様本人どころか、石材店の店主ですら知らないというのがほとんどでしょう。
数多くの中国の石材工場の中には、値段は高いが技術力の優れた工場、
値段は安いが技術もそれなりの工場、特殊加工を得意とする工場と様々です。
そのような条件下の中で、お客様から注文を受けた石材店は、
石材商社の営業担当者に、石の種類・等級、お墓の形状・寸法等を伝え発注します。
注文を受けた石材商社の担当者は、会社に戻り中国の工場へ発注する担当者
(石の特性や、お墓の構造に精通していないスタッフが担当していることも少なくない)に、
石材店から注文を受けたお墓の詳細についての受注内容を伝えます。
そして、この石材商社の発注担当者が、会社の指定する(複数社ある場合が多い)
中国の取引工場の受注担当者に「言葉の壁」がある中で発注いたします。
(もちろんFAXやメールも使用しますが…)
さらに、この中国工場の受注担当者が、工場の加工・製作に携わる石職人に、
日本から受注したお墓の製作について、細部にわたって指示をし、
お墓の製作が始まるというのが、中国にお墓を注文するまでの一般的な経緯です。
これだけの多くの人を介し、また言葉の違いの問題もある中で、
お客様のご注文、ご要望に応じたお墓を完璧につくることは極めて難しい問題です。
言葉が通じる日本人同士であっても、多くの人を介して物事を伝えるほど、
最初の内容と最後に伝わった人の内容では異なってくるというのに、
言葉が通じず、国民性や様々な考え方も異なるとなると、
注文する側の要望を、正確に伝えることはなおさら困難でしょう。
これが、中国でつくられるお墓に品質のバラつきが生じる大きな原因の一つです。