墓石の見積書ではわからない「10のからくり」|同じように見えて価格が違う理由
1955年(昭和30年)福岡県福岡市生まれ。
歌手の郷ひろみさんと生年月日・出身地とも同じ。
- 近畿大学法学部 経営法学科卒業
- 株式会社 第一石材 代表取締役
- 一般社団法人 日本石材産業協会 副会長
- 神戸市石材企業協同組合 代表理事
もともとは、店舗や小規模事業者への販売・営業指導のアドバイザーとして活動していたが、石材店への指導をきっかけにお墓業界へ入る。
売り手中心の考え方が色濃く残る業界に疑問を持ち、「日本で一番正直で最も信頼できる石材店であること」をモットーに、消費者目線でのお墓づくりを実践。
NHKやテレビ朝日「マツコ&有吉の怒り新党」など多数のメディアで紹介される。
全国デザイン墓石コンテスト「墓石大賞」を5回受賞。
一般社団法人 日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」。
特許・実用新案登録の独自構造墓石“納骨室に水が入らないお墓”「信頼棺®」を開発し、全国各地から問い合わせや建墓依頼が寄せられている。
絶対に後悔しないお墓づくりを追求し、お墓選びで後悔する人を一人でも減らすことを信条に活動している。
のじま
お墓の見積書を何社か取り寄せて、
「同じ石で、同じような大きさなら、安い方でいいのでは?」
そう思われる方は少なくありません。
むしろ、そう考えるのが普通だと思います。
ところが、お墓は、一般の方にとって、とても比較しにくい商品です。
見積書に同じ石種名が書かれていても、使われる石の品質まで同じとは限りません。
墓石の形が似ていても、加工精度や基礎工事、地震対策、納骨室の構造などには違いがあります。
しかも、その多くは完成すると見えなくなります。
見積書の「合計金額」だけを比較しても、本当のお墓の違いは見えてこないのです。
では、何が違えば価格も変わるのでしょうか。
今回は、見積書だけではわかりにくい「お墓づくり10のからくり」をお伝えします。
目次
1.見積書だけではわからない「お墓づくり10のからくり」

お墓の価格は、単純に「石の値段」だけで決まるものではありません。
石そのものの品質。
どこの工場で、誰が加工するのか。
基礎工事や石張りをどのように行うのか。
地震にどう備えるのか。
そして、完成後には見えなくなる納骨室に何を使うのか。
こうした一つひとつの積み重ねが、最終的なお墓の価格につながっています。
しかし、見積書にはそこまで細かく書かれていないことがほとんどです。
だからこそ、「同じように見える見積書なのに、なぜ値段が違うのか?」を知っておくことが大切なのです。
1-1.同じ石種名でも品質は同じではない
お墓に使う石は天然素材です。
人間の顔がそれぞれ違うように、石にも一つひとつ個体差があります。
同じ名前の石であっても、色の濃淡や石目の細かさ、模様、キズ、色ムラなどは同じではありません。
そのため、同じ石種の中でも原石の品質によって価格に差が出ます。
ところが、一般的な見積書には、「○○石」と石種名が書かれているだけです。
その石が、その石種の中でどの程度の品質なのかまでは、記載されていない場合もあります。
たとえば、中国産の黒龍石ひとつを見ても、原石の品質によって色目や石目は大きく異なります。
また、国産の高級石として知られる庵治石も同じです。
同じ「庵治石」と呼ばれる石であっても、石目の細かさや色合い、「斑(ふ)」と呼ばれる庵治石特有の絣模様の出方などによって品質には大きな違いがあります。
つまり、国産・外国産を問わず、同じ石種名だからといって、同じ品質とは限らないのです。
当然、それぞれ仕入れ価格にも差があります。
ここがお墓の見積書を比較する際の、最初の大きなポイントです。
1-2.同じ石でも加工工場によって仕上がりが変わる
良い原石を使えば、それだけで良い墓石になるのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
同じ石を使っても、加工する工場の技術力によって製品の出来栄えは大きく変わります。
これは、日本国内の工場でも中国の工場でも同じです。
技術力の高い工場では、経験のある職人が時間を掛けて加工し、研磨工程も丁寧に重ねます。
- 石の角の仕上げ方
- 曲面の滑らかさ
- 磨き上げた面の光沢
細かく見ていけば、仕上がりには差が出ます。
一方、価格を優先する工場では、加工時間や工程を短縮することでコストを抑えることができます。
研磨工程を減らしたり、薬品などで一時的にツヤを出したりすれば、安く仕上げることも可能です。
完成直後は、一見きれいに見えるかもしれません。
しかし、それが本来の石を丁寧に磨き上げた光沢と同じとは限りません。
「同じ石種を使っています」だけでは、墓石の品質を比較できないのです。
どこの加工工場で、どのような基準でつくられているのか。
ここまで確認して、初めて比較のスタート地点に立てると私は考えています。
1-3.見た目が同じでも、お墓の設計・構造は違う
住宅や自動車、家電製品は、何十年もの間に大きく進化してきました。
当然、お墓も同じです。
昔からの形や工法をそのまま踏襲するのではなく、時代に合わせて構造や施工方法も進化させる必要があると私は考えています。
その一つが、納骨室(カロート)です。
お墓の中に雨水が入ることは、長年、お墓業界では半ば「仕方のないこと」として捉えられてきました。
また、「水が入っても、排水できればいい」という考え方もあります。
しかし、第一石材の考え方は違います。
入った水をどう抜くかではなく、そもそも外部から雨水を入れない。
そこを出発点にしています。
さらに、虫の侵入についても同じです。
換気のために開口部を設ければ、そこから虫が入る可能性があります。
そのため第一石材では、単純に「換気口を設ければ良い」という考え方も採っていません。
こうした考えから開発したのが、特許・実用新案登録の独自構造墓石「信頼棺®」です。
お墓は、外から同じように見えても、その内部構造まで同じとは限りません。
見積書には表れにくい部分ですが、こうした設計や構造への考え方も、お墓の価格を左右する要素の一つなのです。
1-4.墓石に彫る文字でも仕上がりは変わる
墓石の正面に彫る文字。
ここも、実は大きな違いが出る部分です。
書家が一基のお墓のために書いた直筆文字。
コンピューターに入っている既成の筆文字。
どちらを使うかで、文字の表情は変わります。
また、彫刻そのものも同じではありません。
経験豊富な字彫り職人が彫る場合もあれば、中国の工場で彫刻する場合もあります。
現在では、自動化された機械によって彫刻する方法もあります。
もちろん、コンピューター文字や機械加工そのものが悪いわけではありません。
問題は、価格を優先することで、何が省かれているのかです。
お墓の文字は、完成した墓石の中でも特に目に入る部分です。
場合によっては、石の細かな品質差より、文字の美しさの違いの方が一般の方にもわかりやすいほどです。
「何を彫るか」と同じくらい、「誰が、どのように彫るか」も大切なのです。
1-5.基礎工事は完成後には見えない
お墓を長く支えるうえで、非常に大切なのが基礎工事です。
ところが、基礎は墓石を建ててしまえば見えません。
一般的な墓石建立工事では、ワイヤーメッシュや鉄筋を配筋し、モルタルや現場で練ったコンクリートを使用する方法があります。
第一石材では、ワイヤーメッシュを使用せず、D10(直径10㎜)~D13程度の鉄筋を細かく配筋し、生コンを使用した鉄筋コンクリートの基礎工事を基本としています。
基礎を強くしようとすれば、材料費も掛かります。
鉄筋を組む手間も増えます。
生コンを手配する費用も必要です。
つまり、見えなくなる場所ほど、コストを掛けるかどうかで差が生まれます。
完成したお墓を見ただけでは、どんな基礎の上に建っているのかはわかりません。
だからこそ、契約前に基礎工事の内容を確認しておく必要があります。
1-6.石張り工事は「エフロ」と石の厚みに注意
近年のお墓では、段差を少なくしたバリアフリー設計や、雑草対策として墓所内を総石張りにするケースが増えています。
そこで注意したいのが、石張りの施工方法です。
一般的には、厚さ25~30㎜程度の石を、モルタルを使って張る方法があります。
施工しやすく、コストを抑えやすい方法です。
しかし、ここで問題になるのが、「エフロ(白華現象)」です。
モルタルなどに含まれる石灰分が水分とともに石の表面へ移動し、白い物質となって現れる現象です。
せっかくきれいな石を使っても、白い汚れのようなものが表面に現れる可能性があります。
第一石材では、このエフロのリスクをできるだけ避けるため、一般的なモルタルによる石張り施工を行っていません。
みかげ石を使ったエフロ防止の下地基礎をつくり、その上に厚さ45~50㎜程度の石を、石材専用接着剤を用いて張る独自の乾式石張り工法を採用しています。
もちろん、石を厚くすれば材料費は上がります。
下地づくりにも手間が掛かります。
安く、早く施工することよりも、完成後のエフロや耐久性まで考えて施工する。
ここにも、見積金額だけではわからない価格差があります。
1-7.石と石を何で接合するか
墓石は、一つの大きな石でできているわけではありません。
複数の石材を組み合わせてつくられています。
そのため、それぞれの部材をどのように接合するかが重要です。
以前は、モルタルを使って石を据える施工が広く行われていました。
しかし現在では、地震への備えを考え、石材専用接着剤などを使用する施工方法が主流です。
モルタルは比較的安価で、施工もしやすいという利点があります。
一方で、お墓を長期間支えることや地震への対応を考えるなら、接合方法まで確認する必要があります。
「墓石据付工事一式」という一行だけでは、どのように固定するのかまではわからないのです。
見積書に書かれていなければ、石材店に聞いてみることをおすすめします。
1-8.「地震対策をしています」だけでは十分ではない
日本は地震の多い国です。
今のお墓づくりで、地震対策をまったく考えないという選択肢はないと私は思います。
ただし、
- 「耐震施工をしています」
- 「免震施工をしています」
という言葉だけで安心するのも早いでしょう。
墓石の地震対策には、金属製の芯棒を使う方法や、ウレタン、シリコンなどの素材を使う方法など、さまざまなものがあります。
大切なのは、「どんな製品を、どんな根拠で使っているのか」ということです。
第一石材では、“震度7”の倒壊実験に対応した墓石用免震ゲル「安震はかもり®」を標準施工しています。
いくら高価な石を使ったお墓でも、地震で倒れてしまえば意味がありません。
石のブランドだけではなく、お墓全体をどう守るかまで考えることが大切です。
1-9.カロート(納骨室)は何でつくられているか
カロートとは、お墓の中でご遺骨を納める納骨室のことです。
しかし、役割はそれだけではありません。
その上には、数百kgから場合によっては1tを超える重量の墓石が載ります。
つまり、墓石を支える重要な構造部分でもあるのです。
第一石材では、耐久性を考え、カロートにもみかげ石を使用しています。
一方で、外から見えない場所だけに、ブロックやモルタルなどを使用してコストを抑える方法もあります。
お客様からすれば、完成後には見えません。
見積書にも「納骨室一式」などとしか書かれていなければ、素材や構造まではわかりません。
大切なご遺骨を納め、なおかつ重い墓石を支える場所だからこそ、何でつくられ、どんな構造なのかを確認してほしいと思います。
1-10.同じ大きさに見えても石の使用量は違う
お墓を並べて見たとき、「どちらも同じくらいの大きさ」に見えることがあります。
しかし、実際に使っている石の量まで同じとは限りません。
- 各部材をわずかに小さくする
- 高さを少し抑える
- 張り石を薄くする
こうした調整をすれば、外観を大きく変えずに石の使用量を減らすことができます。
石の使用量が少なくなれば、当然コストも下がります。
もちろん、無駄に石を厚くしたり、大量に使えば良いという話ではありません。
大切なのは、必要な強度や耐久性を確保したうえで設計されているかどうかです。
見た目のサイズが同じだから、使っている石の量まで同じとは限りません。
ここも、図面や仕様を見なければわかりにくい価格差の一つです。
2.「安くする工夫」と「必要な工程を省くこと」は違う

コストを抑えること自体が悪いわけではありません。
新しい機械やAIを活用し、効率化できるところは効率化すればいいと思います。
しかし、効率化と、必要な工程を省くことは別です。
近年、自動車業界でも、開発期間や現場への負担が品質や認証に関する問題の背景となった事例がありました。
ダイハツ工業の認証不正問題では、第三者委員会が、不正の背景として「過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによる極度のプレッシャー」などを指摘しています。
業種はまったく違います。
しかし、考えさせられる部分があります。
自然界から採れる石は、一つひとつ状態が違います。
石を見極める。
加工状態を確認する。
現場に合わせて施工する。
こうした仕事まで、すべて数字だけで合理化できるものではありません。
人の目で見て、人の手を掛けるべきところには、きちんと手間を掛ける。
それが結果として、将来のリスクを減らすことにつながると考えています。
3.まとめ|見積書の「合計金額」だけで比べない

お墓の見積価格に差があるのには、何らかの理由があります。
ただし、
高いお墓なら必ず良い。
安いお墓なら必ず悪い。
という単純な話でもありません。
大切なのは、「その金額で、何をしてくれるのか」を確認することです。
- 石の品質
- 加工工場
- 文字彫刻
- 設計や構造
- 基礎工事
- 石張り
- 接合方法
- 地震対策
- カロート(納骨室)
- そして石の使用量
これらを確認していくと、同じように見えていた見積書の違いが少しずつ見えてきます。
お墓には、完成してからでは見えなくなるところが数多くあります。
だからこそ、「見えない部分まで、きちんと説明してくれる石材店かどうか」を、石材店選びの一つの判断材料にしていただきたいと思います。
4.見積書だけではわからないことも、遠慮なくお尋ねください

お墓づくりは、多くの方にとって何度も経験する買い物ではありません。
わからないことがあるのは当然です。
第一石材では、墓石の価格だけではなく、石の品質や加工、基礎工事、免震施工、納骨室の構造など、
完成後には見えなくなる部分も含めてご説明しています。
- 「他社との見積価格の違いがよくわからない」
- 「どこを比べればいいのかわからない」
- 「この工事内容で本当に大丈夫なのだろうか」
そんな疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
しつこい売り込みや、自宅への訪問営業などは一切いたしませんのでご安心ください。
お墓を建ててから後悔するのではなく、建てる前に、納得できるまで知っておくこと。
それが、後悔しないお墓づくりへの第一歩です。
【実録映像】お客様インタビュー動画(00:04:40)

