国産の墓石と中国産の墓石!いったいどこがどう違うのか?
どこで私ども第一石材のことを調べたのか分かりませんが、まったく知らない中国の石材加工工場から営業メールやFAXが頻繁に届きます。
なかには、たどたどしい日本語で直接電話がかかってくることもあります。
現在、当社では11社の中国の石材加工工場とお付き合いがありますので、新たな工場を新規開拓する必要性に迫られているわけではありません。
しかし、お客様からご注文をいただいております墓石製品の検品のため、定期的に中国に出張に出向く際には情報収集や後学のために、いろいろな石材加工工場の視察をするようにしています。
そこで今回の記事は、一般消費者の方からのご質問が多い「国内加工と中国加工の墓石とではどちらが良いのか?」という点についてお伝えいたします。
日本人と中国人の根本的なモノづくりに対する考え方を知っておくことが、あなたのお墓づくりにおいて失敗しないコツです。
目次
1.国内加工と中国加工の墓石とではどちらが良いのか?
結論から申しますと、国内加工の墓石だから良い、中国加工の墓石だからダメとは決して言えません。
中国の石材加工工場の中にも、技術レベルの高い石職人の技術で良い製品をつくる工場もあります。
ただ、そのような工場は極めて少ないですけどね。
それでも、日本の最高レベルの産地加工工場でつくられる墓石と比べると、やはり日本の技術の方がはるかに上であると言わざるを得ません。
特に、加工精度や磨きに関してはかなりの差があります。
また、中国の石材加工技術のレベルは今(2019年)から15年ほど前と比べると格段に落ちています。
その大きな原因は、中国が裕福になったからです。
1990年頃の中国は、今とは違いまだまだ貧しい国でした。
特に沿岸近くの都市部と内陸の農村部とでは貧富の差が激しいのです。
石材加工工場で働く者の大半は故郷を出てきた出稼ぎ労働者です。
家族を養うために、日本からの難しい要求にも今のように文句も言うこともなく、残業もいとわず墓石づくりをしていました。
ところが、中国も裕福になった現在では、わざわざ家族と離れてまで「3K労働」である石材加工の仕事に従事する者が激減しています。
そんな状態の中、多くの工場の経営者は、今いる工員に辞められては困るので、製品精度が少々悪くてもきついことも言えない状態になっているのです。
このあたりは、モノづくりに対してあくなき追求をする日本人の職人気質とまったく違います。
中国産墓石の品質が、以前のようなレベルに戻ることはほぼないでしょうね。
2.消費者に見えない部分は手を抜く
日本と中国の石材加工工場を比較して、最も大きく異なるのは、日本では到底考えられないような雑な加工をする工場があることです。
それも、「ごく稀に」ではなく「ごく当たり前に」あるのです!
世界最大の石の加工地である中国には、数百の石材加工工場がありますが、技術力の高い工場よりも低い工場の方が圧倒的に多いのです。
2-1.ひどい加工の墓石の事例紹介
これからご紹介するのは、私が中国出張の際に立ち寄った工場で見かけたとある工場での光景です。
これは、地上納骨式墓石のカロート(納骨室)部分の部材です。
もちろん、私どもの製品ではありません。
・・・と言うより、これは神戸など関西方面の墓石の形ではないのです。
徳島県や高知県などに多く見られる墓石下部にあるカロート(納骨室)の部材です。
問題は、この写真の部分なのですが、カバンが置いてあったり工場スタッフの手で隠れていて少々わかりにくいかもしれません。
以下の写真にて、どこが問題なのかをご説明させていただきます。
これは、地上納骨式カロートの4隅にある柱に凹型に切り込みを入れ、そこに4枚の側面用の板をはめていくための左前の柱部分です。
写真の矢印部分に大きな隙間が空いてるのがわかりますよね!
左前部分に限ったことではありません。
右前も左後も4隅の全てがこのような状態です。
ちなみに「左后」は、中国語で「左後」のことです。
隙間の広さも、ひどい箇所では1㎝ほどもあり、凹切り込み部分の加工も決してきれいとは言い難い精度です。
2-2.ひどい加工の墓石であっても誰かのお墓となるのです
当社が常に依頼している中国の石材加工工場ではあり得ない話で、これを製品として納品するという考え方自体が理解できません。
しかし、この製品も消費者の誰かが石材店に注文したものであり、石材店自身も、どこの工場でつくられているかまでは知らないでしょう。
ほとんどの石材店は石材商社を通じて製品を発注していますので、納品時に石材商社にクレームをつけるかどうかまではわかりませんが、納期がなければこのままの状態でお施主様に納める可能性も十分あります。
また、値段をたたいて石材商社に発注していた場合には、クレームとして対応してもらえないというケースも考えられます。
その場合は、当然このまま使用することになるのです。
隙間の部分には、モルタルを詰めて施工をするのでしょうが、完成後に、お施主様が納骨室の中まで首を突っ込んで見ない限り、おそらく見つかる可能性は低いのではないかと思います。
つまり、こんなひどい加工の墓石でも誰かのお墓となるのです。
3.国内加工と中国加工の墓石の差=日本人と中国人の考え方の差
さきほど紹介させていただいたようなことは決して珍しいことではなく、中国の石材加工工場の多くで、ごく当たり前に行われていることです。
もちろん、日本国内の石材加工工場でも技術の差はあるでしょうが、さすがに、ここまでひどい製品を平気で納める工場はないでしょう。
それは、日本人からすると考えられないようなことであっても、中国人にとっては頓着しないという国民性の違いによるものなのです。
「見えないところまできちんと仕上げる」という日本人気質と、「どうせ見えない箇所なので構わないだろう」という中国人の物事の考え方がモノづくりに現れた結果です。
これは、なにも墓石という製品だけに限ったことではなく、世の中に流通している多くの製品を比較しても、「made in Japan」と「made in China」とは違うはずです。
特に墓石等の石製品に限っては業界が定めた基準がないだけに、製品精度の良し悪しが大きく異なってくるのも事実です。
4.まとめ
中国の石材加工工場の製品精度の差は値段によって大きく異なります。
つまり、墓石の加工賃が高い工場は良い製品をつくるが、安い工場は素材も技術レベルもひどいというのが決まり相場です。
中国加工の墓石では一般的に安くて良いものはないということです。
逆に、「安い値段なのだから、この程度のことは仕方ない」、少々は我慢しろという気持ちの方がむしろ強いのかも知れません。
では、なぜ、その程度の技術力しかないことがわかっているのに、このような石材加工工場に墓石の製作を依頼するのでしょうか?
それは、値段が安いからです!
それだけの理由です、それ以外に理由はありません。
日本全体が、あらゆるものにおいて安いものを求める風潮にある今日では、お墓も例外ではなく、どこよりも安いものを求める消費者も少なくありません。
そして、そのような消費者の要望に応えるために、激安を最大のウリにする石材店も数多く出現してきました。
その石材店から注文を受けた石材商社側としては、中国内でできるだけ安い工場を探すしか方法がないのです。
まさに悪循環です。
消費者も、安い値段の墓石には何か理由があることを知ったうえで、お墓選びをしないと、かえって高い買い物をすることになりかねません。
当社、第一石材では、後悔しないお墓づくりをしていただくために、(一社)日本石材産業協会認定「お墓ディレクター1級」資格を有する、私、能島孝志が「お墓・墓石の無料相談」を承っております。
なお、「お墓・墓石の無料相談」への対応に関しましては、ご面倒ですが完全予約制とさせていただいております。
ご予約は、コチラの「予約カレンダー」をご参照ください。
もちろん相談は全すべて無料です。
しつこい売り込みや自宅への押しかけ訪問などは一切いたしませんので、安心してご相談ください。