お墓の建て方に基準や法律がないという墓石業界での石材店の選び方
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の1級「お墓ディレクター」です。
のじま
お墓を建てるときに最も大切なのは「石材店の選び」と常々申し上げております。
その理由は、墓石業界にはお墓の建て方に関する基準や法律がないからです。
つまり、「どんな仕様」「どんな工法」でお墓を建てるかは、石材店の考え方次第というわけなんです。
これからお墓を建てようと考えている新くんと京ちゃんはどう思いますか?
それは怖いですねぇ・・
新くん
決して安いかものじゃないのに、そんないい加減なことでいいんですか?
京ちゃん
良いわけありませんが、現状はそうなのです。
のじま
いったいどういうことなのか、詳しく解説させていただきますので、「お墓の建て方に基準や法律がない」という墓石業界の現実をふまえて、後悔しない石材店選びをしてくださいね。
目次
1.石材店ごとにお墓の仕様や工法が異なる理由
石材店ごとにお墓の仕様や工法に違いがある理由はいろいろと考えられますが、大きくは次の2つでしょう。
- お墓の建て方には決まりがなく法律もない。
- この仕様や工法で「今まで問題なし」という時代錯誤的な石材店の姿勢。
住宅やマンションは、年月とともに地震だけではなく災害にも強くなり、建築会社や住宅メーカーなどが新しい技術や独自の対策などを開発して良い意味での競争が生まれています。
自動車メーカーも、事故を起こしたときでも安全なクルマづくりを目指し続け、今は事故を起こさないような自動ブレーキなどが開発されています。
また、地球温暖化対策の省燃費の技術が開発され、近年では排気ガスを出さない電気自動車の需要が広まりつつあります。
住宅には建築基準法があり、自動車は安全基準や燃費や排気ガスの基準があります。
ところが、お墓に関しては建て方に決まりもなければ法律もありません。
それゆえに、それそれの石材店の判断によって仕様や建て方が決まってしまうのです。
「なんの決まりも法律もない」って本当ですか?
新くん
本当です!
どんなお墓をつくるかは石材店の考え方次第ということです。
のじま
じゃあ、もし何か問題があったとしたらどうなるわけ?
京ちゃん
おそらく、その石材店を選んだ京ちゃんの自己責任となるケースがほとんどでしょうね。
のじま
そんなぁ・・・
京ちゃん
時代の変化とともに、より良い方法があれば積極的に取り入れる石材店もあります。
逆に、昭和の時代から何も変えていない石材店が存在するのは、決められたルールや守るべき基準がないからです。
そして、この方法で「今まで問題がなかった」という、前述の2つ目の考え方に繋がってしまう背景があるのです。
でも、世の中の様々な業界は、時代の流れに合わせて、より良いものを目指していますよね。
新くん
たしかに、その通りです。
そんなビジネスの常識を取り入れずに、このやり方で「今まで問題がなかった」と言う姿勢は、消費者目線で考えると違和感を感じるかもしれません。
のじま
なかでも、特に心配なのが、お墓の地震対策です。
2.1990年代以降は地震の頻発期
近年は、“震度6”や“震度7”の地震が起こる機会が増えたと感じる人も多いと思います。
当然、石材店も地震の増加に関しては感じているはずなのです。
神戸市にある当社第一石材は、1995年の「阪神・淡路大震災」を起こした兵庫県南部地震の“震度7”を目の当たりにしました。
のじま
これが日本で最初に記録された“震度7”の地震です。
私の家もひどいことになりました。
京ちゃん
あちらこちらの墓地や霊園で、お墓も悲惨な状態でした。
のじま
2025年で「阪神・淡路大震災」から30年が経過しようとしていますが、その間に“震度7”の地震は2024年の元旦に発生した「能登半島地震」で7回目になるそうです。
- 1995年1月/「阪神・淡路大震災」を起こした兵庫県南部地震。
- 2004年10月 /新潟県中越地震。
- 2011年3月/「東日本大震災」を起こした東北地方太平洋沖地震。
- 2016年4月/「熊本地震」は“震度7”の前震があり、4時間後に“震度7”の本震の計2回。
- 2018年9月/北海道胆振東部地震。
- 2024年1月/能登半島地震。
日本では90年代以降に、大きな地震だけでなく、地震の回数自体も増えているのです。
これを“震度6弱”以上に限定すると、もう書き切れなくなってしまうほどです。
また、10年ごとの年代に分けると以下の通りになります。
- 1990年代は6回。
- 2000年代は27回。
- 2010年代は26回。
- そして、2020年代はまだ2024年ですが8回
・・と、90年代以降で“震度6弱”以上の地震は67回も起こっているのです。
しかし、1970年代と1980年代は1回ずつで、1950年代と1960年代は何とゼロなのです。
昭和の時代は、大きな地震が少なかったせいで、お墓の地震対策についても真剣に考える機会がなかったのかもしれません。
3.お墓が広く普及した昭和の時代
日本は戦後の復興と共に、大きな経済発展を遂げてきました。
そして、お墓という文化が一気に世の中に普及したのも昭和の時代(1926年~1989年)です。
ちょうど、“震度6弱“クラスの地震が戦後の40年間で2回しか起こっていない時代なのです。
大きな地震が40年間でたった2回では、「お墓の地震対策」なんて発想は出てこないでしょうね。
新くん
たしかに、その時代は社会全体が大きな地震を警戒していなかった時代でもありますから・・
のじま
ですので、“震度5”程度の揺れで倒れてしまうような建て方をしていたとしても、石材店が「これで問題ない」と考えてしまうのは、まだ仕方がない一面はあると思います。
しかし、時代が平成に変わった90年代以降は、“震度6弱”は67回も記録されており、何の対策もしないと倒れてしまうおそれがある“震度5”以上となると、軽く三桁になってしまいます。
まだ三分の二を過ぎた2024年だけを見ても、地震対策がされていないと倒れてしまう“震度5強”以上は10回以上も日本各地で起こっているのですから・・
そんな時代に、昭和のままのやり方で「今まで問題がなかったから」と考えるのは、ちょっと具合が悪いのではないでしょうか。
4.シートベルトもヘルメットも不要な時代
2023年(令和5年)から自転車でもヘルメット装着が努力義務となり、街中でヘルメットを装着している安全意識の高い人たちが徐々に増えてきましたね。
しかし、今から40年ほど前の1986年(昭和61年)の7月より以前は、ヘルメットは原付バイクでさえ装着は義務化されていなかったのです。
今となってはゾッとしますね。
自動車に関しても、1985年(昭和60年)には、「シートベルトは高速道路や自動車専用道路だけで前席のみ義務」という緩さです。
昭和の終わり頃までは、自動車のシートベルトをしなくても、原付バイクのヘルメットをかぶらなくても、罰せられたりすることがなかった時代なのです。
もし、令和の現代に発売されたクルマが、シートベルトをはじめとする様々な安全装置が付いていないとしたら、どう感じますか?
のじま
私だったら、そんなクルマ買わないわ!
京ちゃん
ヘルメットを被らずに原付バイクを乗っている人が街中にいれば、どう見えますか?
法律や交通ルールで決まっているので、もう今の時代ではありえないのですが、ダメでしょうね。
新くん
もしもの事故が起こった時のことを考えた対策なので、事故さえ起こさなければ、自動車の安全装置もヘルメットも必要はありませんが、「今まで事故などしたことがないから必要ない」と考えたりはしませんよね。
ところが、お墓の建て方に関しては、昭和の時代とは違い、大きな地震が増えているにも関わらず、“震度5”程度で倒れる工法を変えない石材店の言い分が、まかり通っているのです。
きちんとした基礎工事をすれば、長い年月に渡り耐久性に優れた仕様になります。
それに加え、“震度7”の揺れに対応したお墓の地震対策がある時代にも関わらずです。
このやり方で「昔から問題ない」というのは、今の時代にシートベルトをしていないドライバーや、ヘルメットを装着せずにバイクを乗っている人が、「今まで事故をした事がないから大丈夫!」と言っているのと同じであると感じてしまいます。
起こるかもしれない事故のために、車のシートベルトやバイクのヘルメットを装着するのが常識となりました。
それは、多くの方が亡くなり大きな怪我をされたりするのを減らすためです。
住宅やマンションが、大きな地震によって大切な住まいが倒壊することのないよう設計されているのも、同様の理由で常識となっています。
90年代以降にはあちらこちらで大きな地震が起こり、数多くのお墓が倒れているのに「このやり方で今まで問題なかった!」は、なぜ堂々と通用するのでしょうか?
それは、お墓に関しては建て方に決まりもなければ法律もないからです。
そして、一般消費者がお墓に関する知識がないのも改善されない大きな理由かもしれません。
のじま
地震ではありませんでしたが、古いお墓が倒れて下敷きになって亡くなった事故は実際に起こっています。
そして、何より大切な家族やご先祖様が安らかに眠っているお墓が地震で倒れてしまうなんて、誰も想像もしたくないはずです。
繰り返しますが、今では“震度7”クラスの地震に対応したお墓の工法があるのです。
そんな良い工法があるのに、取り入れないという理由が私にはわからないわ・・
京ちゃん
それは、コストと手間が掛かるからです。
のじま
お墓の建て方に法律や決まりもなく、それでも文句を言わず買ってくれるありがたい消費者がいるうちは改善されないということです。
5.他にもあるお墓の「昔から問題ない」
このやり方で「昔から問題ない」というのは、お墓の地震対策や基礎工事に限ったことではありません。
まだ他にもあるんですか?
新くん
はい、残念ながらあるんです。
それも、大切な人のお骨を納める場所であるカロート(納骨室)に水が入るという致命的な問題です。
のじま
何それ!? さすがに、そこまでひどいお墓は珍しいんじゃないですか?
京ちゃん
それが、珍しくないのです。
のじま
実は、日本全国のほとんどの地域のお墓はカロート(納骨室)に水が入ってしまう構造なんです。
ひどい場合には、カロートの中に水が溜まり、お骨がプカプカと浮いていることもあります。
暗くて外敵から襲われる心配がないカロートの中は、虫たちによって格好のすみかなのです。
クモやムカデがいるのは当たり前。
ときには、スズメバチが巣を作ったりもします。
新くんと京ちゃんは、大切な人のお骨がこんなところに納められているとしたら耐えられますか?
のじま
私、虫は絶対無理~~
京ちゃん
さすがに、こんなお墓はダメでしょう!
新くん
ダメですけど、世間一般のお墓の多くはこれが標準なのです。
偉そうなことを言っている当社のお墓も、10年ほど前までは水が入ってしまう構造のお墓だったんです・・・
のじま
今は違うってこと!?
京ちゃん
はい!おかげさまで今は違います。
のじま
当社では、あるお客様からのご要望をきっかけに、特許・実用新案登録の独自構造墓石“納骨室に水が入らないお墓”「信頼棺®」を開発いたしました。
見た目は、これまでのお墓の形と大きく変わらず、和形墓石だけでなく、洋型墓石・デザイン墓石にも対応できます。
「信頼棺®」のお墓は、どこの石材店でも扱っているのですか?
新くん
のじま
「このやり方で昔から問題ない」と言い張る石材店は、“震度5”程度の地震で簡単に倒れてしまう墓石や、カロート(納骨室)の中に水が入ってしまう墓石であっても、消費者に対して「問題がない」のではなく、自分たちに都合よく「問題がない」ことにしているというのが現実ではないでしょうか?
6.まとめ
お墓というものは、頑固な職人みたいな印象と結びつきやすいので、「これで昔から問題ない」という言葉は、間違った説得力を持たせてしまいます。
しかし、頑固というのは方法を変えないことに使われるべきでなく、良いモノをつくる姿勢を変えないことに使われるべきです。
「このやり方で昔から問題ない」と言う中身は、仕様や工法は昭和のままであり何も変わっていないということであり、そんな姿勢は頑固でも何でもありません。
多くの消費者がお墓のことを何も知らないことをいいことに、胡坐(あぐら)をかいているだけのことです。
あなたの目の前には、次の2つの石材店があります。
1.時代の変化に合わせてより良い方法へ改善を重ね続け、消費者に良いものを提供する姿勢は頑固に変えない石材店。
2.品質を犠牲にして安価で楽な方法は採用するが、時代が変わろうが問題があろうが自分たちのやり方の改善をしないことにだけ頑固な石材店。
さて、あなたが選ぶべきなのは、どちらの石材店でしょうか?
『【実録】お墓を建てる石材店を選ぶ際に注意!信頼できない営業マンとは?』
『お墓の良し悪しは基礎工事を見れば一目瞭然【お客様の声/神戸市:TT様】』
『私にとって母の遺骨は骨になっても母そのもの!水が入るお墓は絶対ダメ【お客様の声/大阪府吹田市・RK様】』
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
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