過去の教訓から考える必要があるお墓・墓石の地震対策
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。
のじま
2023年1月17日を迎え、1995年(平成7年)に発生した「阪神・淡路大震災」から28年が経ちました。
当社第一石材は同じ年に神戸市で創業したので、特別に強く印象が残っている年でもあります。
そして、東日本大震災が起こった2011年3月11日から早くも12年が経ちます。
毎年この時期になると、地震や災害のことを考える機会となる方も多いのではないかと思います。
また、2023年2月6日にはトルコとシリアを大きな地震が襲い、目を覆いたくなるような甚大な被害が出ています。
日本と比較すると十分な地震対策がされていない建物が多いようで、倒壊した映像を見ると天災の恐ろしさを痛感させられます。
私は、「阪神・淡路大震災」で大きな被害の出た地域に住んでおりましたので、何年経っても地震となると、28年前のことを思い出さずにはいられません。
ちょうどそのときは、経営コンサルタントとして石材店を担当したことがきっかけで、とある石材店で勤めておりました。
当時の墓石販売の業界といえば、今以上にお客様の立場を考えていない印象が強く、とにかく自分たちの利益や都合を最優先しているように思えました。
「こんなビジネスをしていては、この業界に明るい未来はない!」と感じ、元コンサルタントの立場から様々な提言をさせていただきましたが、そんなことをしなくても当時は売れていたので、残念ながら私の意見や提案は受け入れていただけませんでした。
それならば、自分で理想と考える石材店を開業しようと思ったのです。
不幸にして起こってしまった「阪神・淡路大震災」によって、自分が理想と思う石材店の中に、大きな目標が一つ加わることになりました。
6,000人以上の方が亡くなり、40,000人以上の負傷者が出ました。
多くの家屋や建物が倒壊しましたし、火事による被害も広範囲に及びました。
そんな甚大な被害の中で、当時石材店を開業する準備中だった私には、別の光景が加わっていました。
それは、お墓の倒壊です。
多くのお墓が倒れてしまうだけでなく、その時の衝撃で割れてしまったり欠けてしまったりしたお墓が多数あるのを目の当たりにしたのです。
お墓は心の拠り所と言われますが、大震災は心の拠り所さえも被災者から奪っていったのです。
私自身も衝撃を受けました。こんなにも簡単にお墓は倒れてしまうものなのか・・と。
様々な理由が重なって、当時のお墓は地震対策と言えるものは皆無だったのです。
「阪神・淡路大震災」があり、ようやく石材業界には地震に負けないお墓を建てようとする動きが出始めます。
そこに、私が石材店を創業するタイミングが重なったのです。
もちろん、自分の経営する石材店では、地震に負けないお墓をお客様に提供すると決心したのは言うまでもありません。
目次
1.お墓の地震対策がされてこなかった理由
技術的な理由から石材店の考え方に至るまで、当時のお墓が倒れてしまった原因は幾つかあります。
お墓には重量のある墓石を設置するのに、基礎工事と呼ばれるものが必要ですが、関西で建てられるお墓の基礎工事は、実は全国的に見ると大変弱いのです。
弱いと言うより、多くの場合は基礎工事と言えるレベルの工事がされていなかったのです。
他の地域の石材業界関係者さんにも、関西のお墓の基礎工事は全国最低レベルと言われたこともあるのです。
「阪神・淡路大震災」を機に建て方を見直した石材店もあれば、残念ながら昔からの方法を変えない石材店も多く残っており、全国的に見ると、昔も今も関西地方を含む西日本のお墓の基礎工事は弱いと言わざるを得ません。
日本全国では様々な風習や地域の事情がありますし、お墓の大きさや形状だけでなく、墓地の広さなども本当に様々です。
都市部ほど土地の値段の関係で、墓地は狭くなる傾向があります。
関西も都市部では墓地は狭いので、お墓が全国平均より小さい傾向があり、大掛かりな基礎工事が必要ないとも考えられてきたのでしょう。
それでも1トンほどはあるのですが・・・
傾いたり倒れたりする原因ともなるので、今でこそ基礎工事は絶対に必要と当社は考えておりますが、当時はさほど問題視されていなかったのです。
その上に、わざわざコストと手間が掛かるようなことを、お客様のために積極的にするような石材店は、残念ながら少なかったのです。
墓石にも具体的な対策はされておらず、気休め程度のモルタルで止めているだけなので、大きな地震に対する対策はされていないのも同然でした。
2.関西は地震が少ない地域とされていた
「阪神・淡路大震災」が起こるまで、地震といえば関東が多いという風潮もあるほど、関西は地震が少ない上に、長年の間に大きな地震がありませんでした。
関西で「阪神・淡路大震災」より前の大規模な地震は、1946年(昭和21年)にあった“マグニチュード8.0”の「南海地震」が最後ですが、1891年(明治24年)から1961年(昭和36年)までの70年は中規模地震や小さい地震も意外と多く、地震が多かった時期とされています。
「南海地震」のあった1946年(昭和21年)も多くの甚大な被害が出ており、その被害の中には、お墓の倒壊もあったはずですが、時間の経過と共に風化していた面は否めません。
1962年(昭和37年)以降は、関西では地震が少ない時期が32年続いていましたが、1995年(平成7年)の「阪神・淡路大震災」で状況は一変することになりました。
1890年(明治23年)より以前も、32年ほど地震の少ない期間だったと言われており、この230年ほどの期間は、70年前後の地震の多かった期間と30年前後の地震の少ない期間を2回繰り返していることになります。
近畿からは外れますが、兵庫県とつながっている鳥取県も1943年(昭和18年)に“マグニチュード7.2”で“最大震度6”の地震が起こっていたのですが、2000年(平成12年)には“マグニチュード7.3”“最大震度6強”を記録した「鳥取県西部地震」が57年ぶりに起こり、2016年(平成28年)には“マグニチュード6.6”“最大震度6弱”の「鳥取県中部地震」が起きました。
2016年の熊本地震も127年ぶりの大きな地震ですし、2018年の「大阪北部地震」も「阪神・淡路大震」災以来の23年ぶりの大きな地震でした。
天災は忘れたころにやってくると言われるわけですが、「阪神・淡路大震災」だけでなく「東日本大震災」の影響もあり、西日本でも地震の多い時代の真っ只中と感じておられる方が多いと思います。
今後に起こると予想されている「南海トラフ地震」は“マグニチュード8~9”クラスで、30年以内の発生率は70~80%と言われておりますし、現在は地震に備えることがあらゆる面で求められる時代になっていると感じます。
しかし、「阪神・淡路大震災」以前は、そういう雰囲気があまりなかったと感じます。
お墓が一般的に大きく普及した時期と、日本の高度成長期やバブル期などの時は、今の時代から振り返ると地震が少ない時代で、関西は地震が少ないとされてきた地域なのもあり、お墓が倒れてしまうことなども、想定すらされていなかったと言えるでしょう。
3.住宅やビルなどは常に改善の繰り返し
過去の教訓から建築基準法は何度も見直されています。
1981年以降に“震度6”でも倒壊しない設計が求められましたが、“震度7“を記録した「阪神・淡路大震災」で倒壊してしまった家が多数ありました。
2000年には“震度7“でも耐えられる内容に改正されましたが、それでも地盤に合っていない工事が原因で“震度6“程度で倒壊してしまうことがあり、その後は地盤調査なども義務となり、現在販売されている新築の住宅やマンションなどは、地震で倒壊する心配はほとんどないと言ってもいいでしょう。
また、建物だけでなく、家の中のタンスや家電製品などが倒れてこないような対策も紹介され、様々なグッズも販売されていますね。
今の時代から振り返ると、「阪神・淡路大震災」前と比較すると、住宅などの建築法は無防備に見えてしまいますが、過去の教訓から学んで対策が生まれているのです。
新たな工法が開発されたりしていますので、40年以上前より地震に耐久性のないものが建てられることはありません。
その背景には、国土交通省が決めた基準がありますので、必ず法令に従った基準をクリアしたものしか販売されないのです。
その上で、各社がライバル同士で競い合って、より良いものをつくり続けているわけですね。
4.石材店の地震に対する取り組みは様々
一方でお墓はどうでしょうか?
実は、お墓の建て方に法律はありません。
墓地が定めたルールにさえ合っていれば、建てる石材店の判断によって、設計や仕様はバラバラなのです。
お墓の基礎工事は、良いお墓を建てるうえで土台となる基本中の基本です。
どんなに良い石の墓石であっても、どんなに良い設計やデザインでも、しっかりした基礎工事がされていないと、“震度5“前後で倒壊の恐れがありますし、長年の間にお墓が傾く可能性もあるのです。
基礎工事がされていないお墓は、文字通りで台無しになる可能性が高いのです。
ちなみに、当社の基礎工事は、墓地全体を最低30センチ以上掘ったうえで、割栗石や採石を敷き詰めて転圧してから、お骨を収める場所以外は全面的に鉄筋コンクリートで固めます。
いわゆるベタ基礎工事と言われるものです。
住宅の基礎工事と比較しても遜色ないレベルの工事をしております。
しかし、いまだに墓地の周囲だけを浅く掘って、気休め程度のモルタルで固めて、お墓の下には基礎工事がない施工の石材店も数多く存在します。
「阪神・淡路大震災」を経験した当社は、頑丈な基礎工事に加え「免震ゲル」を採用しており、“震度7“の倒壊実験をクリアした仕様ですが、“震度5“程度でアッサリ倒れてしまうような工法の石材店もあるのです。
同じ西日本でも、当社から離れた地域の石材店さんと話していた時のことです。
その石材店さんに限らず、その地域のお墓は、きわめて基礎工事が弱い地域なのです。
ベタ基礎工事と言われる全面に鉄筋コンクリートを採用している石材店は皆無と言って良いほどで、コーナー金具での固定なども念入りにされておらず、正直に言わせていただくと、時代遅れと感じるほど貧弱な工事でした。
「これ地震が来て倒れたらどうするのですか?」と恐る恐る質問すると、「その時は元に戻せば良い。今まで倒れたこともないし、これで何の問題もない」と平気で言われます。
大切な墓石を倒れないようにするとか、今後も改善する気もないのがわかり、前向きな会話にならないと感じてしまい、話題を変えたのを覚えています。
一般的に地震に対する考え方も時代とともに変わっているのであれば、石材店も地震に対する考え方を変えていく必要があると思うのです。
実は、その地域に近いお客様から、「しっかりした工事がされた地震に負けないお墓を建ててほしい」と、ご契約を頂いたことがあります。
墓石を販売している現地の石材店より、お客様の方が地震の心配をして、遠く離れた当社へ依頼をして来られるというのは、当社としては嬉しい話ではありますが、現地の石材店としては、今後の課題として取り組み方を見直す姿勢が必要と感じます。
その地域の石材店さんは、「この地域の人の収入は都市部に比べて低い傾向があるので、お客さんのために販売価格を抑えられるので、これが良い」とも言っておられました。
確かに、基礎工事を頑丈にするには手間とコストが掛かり販売価格に影響しますが、お客様が得られるメリットや安心は、価格差以上の価値があると思うのです。
お墓が倒れたりして損傷したり、倒れたのを戻すのも費用が掛かりますし、お墓が傾いたりすると工事も大掛かりになりますので、結局は基礎工事より高くなる可能性が高いのです。
- 石材店として本気でこれで良いと思っているのか?
- ベタ基礎工事を面倒と思っているのか?
- ベタ基礎工事をしてしまうと将来のお墓の修理の仕事が減るとでも思っているのか?
もしかして、ベタ基礎工事をしてしまうと「将来の墓じまいが面倒」なんて考えてのことなのか?
実際のところはわかりませんが、これからの時代に頑丈で地震に負けないお墓の建て方を採用しないと言うのは、お客様の立場になっていないな・・と感じてしまいます。
5.大地震の経験の有無も大きく影響
大きな地震を経験しないで済むのであれば、その方が良いのは言うまでもありません。
先ほどの地域の石材店さんと当社のある神戸は離れていますし、「阪神・淡路大震災」の影響もほとんどなく、大きな地震の対策する必要性を実感してこなかったのもあるでしょう。
しかし、この日本という国は、残念ながら宿命として大きな地震が起こる国と考えないといけません。
地震の予知ができないのであれば、何事も万全に備えておく必要があるのです。
お墓は、何世代にも渡り大切にしていただくものですので、自動車のように買い替えたり、住宅やマンションのように何度も引っ越すとかはありません。
そうなると100年は大丈夫であることが前提の工事や地震対策が求められると思うのです。
100年後のことなんて誰にもわかりませんが、その間に大きな地震がやってくるのは確実と言って良いかと思います。
大きな地震が起こって、地震対策がされていないお墓がどうなるのか?を目の当たりにした経験があるものとしては、選択肢は地震対策するしかないのです。
当社の場合は、念入りな基礎工事の上に石材専用接着剤の使用は当然です。
その上に、“震度7”に対応した免震ゲル「安震はかもり®︎」を採用しています。
そして、「信頼棺®︎」という、大切な人のお骨を守るカロート(納骨室)の部分に、水や虫などの侵入物を許さない、特許・実用新案登録の独自構造を施しており、そのためにさらに強固な耐震性と長年の耐久性がある仕様なのです。
同じ業界の方から、「ここまでやる必要あるのか?」とか、「やりすぎでしょう!」とか、価格が上がるので購入する人の負担が増えるという意見も頂戴したことがあります。
しかし、自然災害は人間の想像を上回ることがしばしば起こります。
「東日本大震災」では、福島県の原発事故も想定外の連続で起こってしまいましたし、岩手県にあった日本一の防波堤も巨大津波の前にはまったく役割を果たせず、多くの被害が出てしまいました。
「やりすぎ」ぐらいの対策でも、それが正解かどうか?はわからないと思うのです。
それは人間が決めることができない領域なのかもしれません。
大きく価格が変わってしまうようであれば、考え直す必要もありますが、現時点では企業努力の範囲で何とか吸収できており、大きな影響がお客様に及んでいないと考えておりますし、今後も当社は試行錯誤を重ねていくつもりでおります。
6.まとめ
お墓の建て方に法律がないと述べさせていただきましたが、個人的には必要と感じています。
住宅にしても、自動車にしても、過去の教訓を活かすためにも、国の定めた基準によって品質や性能が向上し続けています。
たとえ、販売価格が上がっても、それは消費者のためになっているわけです。
しかし、そういう基準がなく石材店の自主性に任せていると、現状のように石材店ごとにお墓の建て方がバラバラということになってしまうのです。
お墓は、高額商品にも関わらず、購入する人にとっては極めて違いがわかりにくい商品なので、どうしても安い方が良いと価格で判断していまう傾向にあります。
石材店も良いお墓を建てることより、販売することが優先となり、コストと手間の掛かる基礎工事がされない状況が、まだまだ関西から西日本方面では続いているのです。
実際、大きな地震がなくても、お墓が傾いたとか、修理してもらえないとか、消費者相談センターには石材店に対するトラブル相談が一向に減ることはありません。
お墓の建て方に、それなり基準が決められて規制や罰則などがあれば、そういった苦情も減るでしょうし、大きな地震にも負けない耐久性に優れたお墓が増えることにもなると思うのです。
けれども、日本という国は、色々と法律や規制を作るのですが、それがしっかりと機能しているか?とか、現場で守られているか?というような、確認と検証が行われない傾向がある国でもあります。
そういった管理の課題などもあるかと思いますが、一つの基準を作ることにより改善の傾向はあるとも思います。
ただ、現時点ではお墓の工事・施工には、そういった法規制がないので、「石材店選び」がすべてであると言っても過言ではありません。
また、「石材店選びが」がそう簡単なことではないことも事実です。
そうなると、法規制ではないのですが、日本最大の石材関連業界である一般社団法人日本石材産業協会が定めた、「墓石工事契約等ガイドライン」などを参考にされるのも一つの方法かと思います。
契約をあせらずに、あなたのお眼鏡にかなう石材店を見つけてください。
『今選ぶべきお墓の最大ポイントは自然災害に強い墓石である理由』
『長く変わらないためのお墓の耐震・地震対策と免震施工とは?』
【実録映像】お客様インタビュー動画(00:04:40)
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
しかし、この記事だけでは、あなたのお墓への疑問を解決するにはまだまだ情報量が足りません。
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