5.神戸・兵庫で大島石のお墓を建てるならどんな石材店を選べばいいの?

近年市場に墓石として流通している「大島石」の墓石の大半は、
中国の石材加工工場でつくられ、薬品処理をはじめとする、
様々な”ごまかし加工”を施された墓石が大量に出回っている現状については、
前回までのブログにてお話しさせていただきました。
では、本当に安心できる、素晴らしい「大島石」でのお墓を建てたい場合は、
いったいどの石材店に依頼すればよいのでしょうか?
…とは言ったものの、これがなかなか難しい問題です。
もし、私が現在石材業を営んでなく、一般の消費者で、
安心できる品質の「大島石」でお墓を建てたいとしたら、
きっと以下のような項目を基準にお店選びを考えるでしょう。
1.テレビのCM等でよく見る大手の石材店。
2.創業○○年の老舗の石材店。
3.親戚や知人が紹介してくれた石材店。
まあ、こんな感じで石材店選びをするでしょう。
ところが、自分自身がこの業界に入り、長きにわたって業界の中を見てきますと、
良くも悪くも、少しずつですが色々なことが見えてくるのです。
もし私が今の知識(石屋としての)がありながら石材業者ではなく、一消費者として、
「大島石」(大島石以外の国産墓石も同じです)のお墓を購入するとしたら、
はたして、どのような基準で石材店選びをするのでしょうか。
石材業界の裏も表も知っている消費者!
業者側からすれば、からり手ごわい消費者でしょうねぇ(笑)。
さぁ!いよいよ「大島石」のお墓選びのスタートです。
どんな石材店で「大島石」のお墓を買えばいいの?
先ず最初に、「大手の石材店か小さな石材店か?」という問題ですが、
実際、今でも時々お客様から「従業員は何人いるの?」という質問が出ます。
尋ねられている私自身も「何の為の質問なの?」と思うのですが、
お客様からすれば、大きな規模で、たくさんの社員がいて、
手広く商売をやっている石材店の方が安心なもかもしれません?
けれども、規模や社員数に関係なくつぶれる会社はつぶれています!
とは言っても、店舗や展示場を持たずに、マンションの一室で、
自宅兼で商売をやっているような、ブローカー的な石材店はやはり避けますね!
私の個人的な考えですが、大きな会社から買うべき商品と、
小さな会社から買う商品とは異なるような気がいたします。
車や家電製品などの、多くの工業製品をつくる場合には、
定められた規格・基準に沿ってラインを組み、製品を大量に生産します。
したがって、様々な研究施設や製造ラインが整った、
大手メーカーによってつくられた製品を買う方が安心でしょう。
たとえば、大手メーカーの家電製品をどこの電気屋さんで買っても商品は同じです。
それならば、少しでも安い店で買った方が徳ですよね!
(もちろん、アフターサービス等の問題もありますが…)
しかし、「石」というものは大地の自然から採掘される天然資源です。
その為、厳密には全てが同じお墓は二つとして出来ません。
その時その時によって、微妙に異なる素材を吟味しながら、
お客様ごとの注文に応じながら、石職人の熟練技にて造り上げていきます。
特に、大島石や庵治石などの石は、採石丁場や取り口等によって、
石目や色目が異なるため、良いお墓に仕上げるには優れた技術を要します。
それだけに、その店の”こだわり”や経営者の考え方、
お客様に対する姿勢等のすべてが、製品の出来栄えに表れてきます。
(ここはとても重要ポイントです!)
ここが「お墓」の分かりにくい所なのです。
これって、どこか料理の世界とよく似ているような気がしませんか?
外食産業においても、全国に数多くのチェーン展開をし、
どこの店舗で食べても同じ味と同じサービスを提供している大手のお店。
親方(経営者)が、朝一番に自ら食材の仕入れに行き、
お客様の注文にあわせて一品ずつ料理を作り、もてなす小さなお店。
どちらが好みかは、個人個人の好みがあるでしょうが、
私が「大島石のお墓を買う店」として選ぶなら後者の方です!
もちろん、それには、その石材店の経営者が単に利益追求のみに走っているのではなく、
常に消費者目線で、お墓づくりを実践しているかどうかが大前提となりますが…。
つまり、「石の善し悪しよりも先ず人としてどうか!」です。
(単なるお人好しではなく「お墓のプロ」としてどうか?)
でも、これってどうして見極めればいいのでしょう?
実際のところかなり難しい問題だと思います。
結局は、色々な石材店の経営者と直に会い、自分自身の目で確かめるしかないでしょう。
次に、「老舗の石材店か比較的新しい石材店か?」についてですが、
これも同じく、お客様から「おたくは創業何年?」なんて時々尋ねられます。
一昔前の話なら、やはり長く営んでいる”老舗の石材店”と言えたでしょう。
ところが、現代社会においては、必ずしも「老舗=信頼できる石材店」、
という図式が当てはまるような時代ではないように思います。
これは石材業だけに限らず、他の業界においても言えることですが、
「老舗」の名に恥じないよう頑張っている素晴らしいお店もあれば、
「暖簾の上にあぐらをかいている」だけの単に年数を重ねただけの店もあります。
(大阪の老舗料亭「船場○兆」事件の例もあります)
石材店にとって、創業年数というものがどれだけ大切なのか、私はよく分かりませんが、
(他の業界では、あまり創業年数を極端に前面に打ち出していないように思うのですが…)
やはり、重要なのはその会社の経営理念であり、製品の品質の良さであり、
仕事に対する「経営者のモノの考え方」の方がより大切ではないかと思います。
結論として、石材店の裏も表も知っている消費者としての、私が選ぶなら、
老舗かどうかという問題においては、さほど重要視をせずに石材店を選びます。
最後に、親戚や知人に紹介された石材店はどうかという問題ですが、
人から紹介してもらうのが、良いか悪いかは非常に微妙なところです。
紹介をしてくれた人にとっては、きっとその石材店の何かが良かったからなのでしょう。
その石材店で30年前に建てた大島石のお墓が、今でも綺麗だとか…。
その石材店の社長に、とても良くしてもらったとか…。
人それぞれに、いろんな良い思いがあるから誰かに紹介するのでしょうが、
30年前には、中国の石材加工工場でつくられる大島石のお墓なんてなかったし、
その時の社長も、代替わりで、今は息子さんが社長になっているかも分からないし…。
…などなど色々と考えると、人からの紹介は断りにくいし、
気に入らない箇所があるにしても、言いたいことも言いにくいものです。
そうなると、やはり自分の目と耳で確かめるのが一番です!
以上の様に、お墓に関する知識を持っていない人(いわゆる一般消費者)が選ぶ石材店と、
もし、業界人が消費者だったらの立場で選ぶ石材店とではこれだけ選び方が違うのです。
※これはあくまでも私の個人的な主観につき、すべての方に当てはまるものではありません。