天山石墓石を選ぶポイント!品質・色の濃さ・石目・それとも価格?
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。
のじま
私どもの地元である関西を中心とした西日本で人気の国産墓石のといえば、何と言っても「大島石」です。
しかし、かつては大島石一辺倒だった西日本ですが、近年頭角を現してきたのが「天山石」です。
品質的には、どちらも素晴らしい国産銘石であることに間違いありません。
大島石は、「石の貴婦人」と称されるように優しい色合いが特徴です。
それに比べ、天山石は少し濃い色目が特徴の石で、男性的なイメージと言えるかもしれません。
その天山石も、複数の採石業者といくつかの等級・ランクがあります。
でも、一般消費者にとっては、どんな天山石墓石を選べばいいのかさっぱりわからないことでしょう。
そこで、今回の記事は、品質・色の濃さ・石目・価格の観点から、天山石墓石を選ぶポイントについて解説いたします。
目次
1.天山石とは?
九州屈指の銘石である天山石の歴史は古く、江戸時代の初めとなる1602年~1608年にかけて築城された唐津城の石垣にも使用されています。
そんな歴史ある天山石ですが、墓石の材料として本格的に採石が始まったのは1970代と比較的新しい石種なのです。
大島石と比べると少々濃い色目で、少し紫色がかった深みのある青みが特徴です。
佐賀県唐津市七山の天山~背振山系で採石される石は、天山石の他にも「七山みかげ」や「富士みかげ」などがありますが、いずれもよく似た色目と石目で、一般消費者ではおそらく見分けがつかないかもしれません。
いずれの石も、「硬い」「水を含みにくい」「変色・変質しにくい」という優れた特性を持つ高品質の墓石材と言えるでしょう。
天山石は、天山石材株式会社さんと有限会社田中直実石材さんの2社の採石業者にて採石されており、七山みかげと富士みかげもそれぞれ別の採石業者によって採石されます。
しかし、七山みかげや富士みかげも、小売市場ではいずれも「天山石」と称して販売されている場合がありますので、石材店によく確認された方がいいでしょう。
では、これらの中で何を基準に選び、お墓を建てればいいのかをこれから順にご説明いたします。
天山~背振山系で採石される石の中では天山石が最も有名なだけに、「七山みかげ」や「富士みかげ」も「天山石」として販売する方が売りやすいという、業界の勝手な都合が理由です。
のじま
2.品質で天山石の墓石を選ぶ
お墓は長きにわたって使用するものだけに、やはり耐久性は気になるところです。
ましてや、屋外に建ち続け風雨にさらされているわけですから、なおさらのことです。
では、いくつかある天山~背振山系の石の中でどれを選べばいいのか?
また、天山石なら2社ある採石業者のどちらを選べばいいのか?
…という問題になってきます。
結論から申し上げますと、どれを選んでも品質的には遜色ありません。
どの石も硬質で吸水性も低いため、雨が降った後も水シミができることもなく、長い年月を経ても極めて劣化の少ない石と言えるでしょう。
要するに、違いは多少の見た目の違いだけということになります。
3.色の濃さと石目で天山石の墓石を選ぶ
天山石を選ばれる方の中でも、より色目の濃い石を求められる方がいます。
もともと、天山系の石は大島石よりも濃い色目なのですが、さらに濃い色の石を望まれるのです。
そうなると、2社ある天山石の採石業者の中でも、天山石材さんの石の方が濃い石が採れる確率は高いでしょうね。
もう1社の田中直実石材店さんの石は若干薄い色目となります。
ただ、それも自然のものだけに、絶対とは言い切れません。
やはり、採石されるそれぞれの塊によって色目や石目が異なります。
その、天山石材さんの天山石ですが、色目や石目で以下の3つの名称で等級・ランク分けされています。
- 紺碧(こんぺき)
- 銀剛(ぎんごう)
- 万葉(まんよう)
色目が濃く石目もきれいに揃っているとされるのが「紺碧」。
「紺碧」より少々薄い色目の「銀剛」。
「紺碧」「銀剛」クラスとしては販売できない、少々白っぽい石や、石目が不ぞろいのものを「万葉」として安価に設定された天山石です。
そして、この「万葉」には、先ほどご紹介した天山系の類似石種である「七山みかげ」の一部も含まれています。
つまり、七山みかげの一部を天山石「万葉」として委託販売しているということです。
いわゆる、業務提携ですね。
その理由は、ブランド力です。
「七山みかげ」として販売するよりも「天山石」として販売する方が売りやすいからです。
このように、「天山石」として販売されている石は、採石業者も異なりますし、等級・ランクなどもありますが、品質はいずれも優れており大きな違いはありません。
しかし、「見た目9割」とも言われるように、色目や石目も好みのものが欲しいという方もいるのです。
石は自然素材です。工業製品のように2つとして同じものはありません。
きちんとランク分けがされていると言っても、当たりはずれがあることを認識しておくべきです。
のじま
4.加工技術で天山石の墓石を選ぶ
お墓は高額商品であるだけに、見た目や石の質も大切でしょうが、やはり墓石としての出来栄えの良し悪しも気になるところです。
これは何も墓石だけに限ったことではありません。
料理なんかにも言えることです。
いくら良い素材を使っても、腕の良い料理人が作るのと、そうでない料理人が作るのでは当然味も違ってきます。
石もまったく同じことが言えます。
「良い石」≠「良い墓石」なのです。
もっと言えば、せっかく良い石を選んでも、墓石づくりに携わる石職人の腕が悪ければ、きれいな墓石に仕上がらないということです。
その大きな原因の一つに中国加工があります。
実は、天山石の墓石の大半は中国でつくられているのです。
「日本の石なのに中国でつくるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、実際にそうなのです。
これは、天山石に限ったことではありません。
国産墓石のほとんどは中国でつくられています。
具体的に説明しますと、天山石の原石を大量に中国の石材加工工場に輸出し、現地で完全に墓石として加工された製品を再び輸入しているというわけです。
わざわざ、どうしてこんな面倒くさいことをするのかと言うと、安くつくるためです。
それだけが目的です。
決してきれいにできるからではありません。
むしろ、きれいにできないと言った方が正解かもわかりません。
日本の優れた技術力を有する加工工場でつくる天山石の墓石と、中国の石材加工工場でつくられる天山石の墓石とでは天と地ほどの差があります。
特に加工の精度や磨きの違いは、日本と中国の石材加工工場では大きな違いがあります。
木に木目があるように石にも石目があります。
特に天山石は石目がはっきりしていて、切る方向によっては違った石に見えるくらい石目が異なります。
日本の石材加工工場の中でもごくわずかですが、その石目きちんと合わせ、完成した墓石の正面に一番きれいな石目が揃う「天目(てんめ)取り」という工法で墓石加工に取り組む石材加工工場もあります。
当然ですが、このような石材加工工場でつくられる天山石の墓石は価格もそれなりに高くなります。
加工技術で天山石の墓石を選ぶのならば、最低でも国内加工であることが条件です。
欲を言えば、その中でも超一流の技術力を誇る石材加工工場でつくれば文句なしです。
国内の石材加工工場であっても、「天目取り」で天山石の加工をしているところは、ごくわずかです。
国内加工だからといって、きれいに石目が揃った天山石墓石になるとは限りませんので注意が必要です。
のじま
5.価格で天山石の墓石を選ぶ
なんだかんだ言っても、やはり価格も大きな問題でしょう。
ただし、価格と品質とをどのようなバランスで考えるかです。
たとえば、見た目重視で考えたいので、ランクの高い天山石を選んだとしましょう。
しかし、予算の関係上、国内加工は無理なので中国加工を選択。
これが、私が最もおすすめできない天山石の墓石の選び方です。
それならむしろ、「七山みかげ」を国内加工でつくる方がはるかにきれいな墓石に仕上がるでしょう。
とにかく、中国加工の天山石の墓石は絶対におすすめできません。
多いときには、年間に10回以上、これまで通算200回以上にわたり中国の石材加工工場を見続けてきた私が言うのですから間違いありません。
価格優先で中国加工の国産墓石を選ばれる方が多いですが、それなりのリスクがあることは知っておくべきです。
多くの消費者は石のランクで天山石墓石を選びがちだが、むしろ重要なのは加工技術です。
中国加工の天山石で良いものに当たる確率はゼロに等しいでしょう。
のじま
6.まとめ
いかがでしたか。
どの方向で天山石の墓石を選ぶか決まりましたか?
石としての品質は、天山系の石ならばどれを選んでも問題ないのです。
あとは・・・
- 色目ですか?
- 加工技術ですか?
- 価格ですか?
私のイチオシは、やはり加工技術です。
そうなると、最低でも国内加工という選択肢になります。
それ以上は、予算との兼ね合いですね。
また、どの石材店を選ぶかによっても、どんな天山石の墓石になるかが違ってきます。
やはり、最終的にはお店選びということになります。
このあたりも、料理の世界とよく似ています。
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