デザイン墓石のお墓を建てるときの最大の注意ポイントとは?
お墓の形で多くの方が思い浮かぶのが四角い石を3段ないし4段積み重ねたものかと思います。
いわゆる、「和型墓石」と呼ばれている見慣れた形のお墓です。
ところが、近年では、自由な発想からご家族への大切な想いを自由に表現した「デザイン墓石」と称したお墓が数多く建てられています。
こんにちは。(一社)日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」の能島孝志です。
兵庫県神戸市で、“カロート(納骨室)に水が入らない特許構造墓石”『信頼棺®』を販売する、(株)第一石材の代表を務めさせていただいております。
能島
さて、あなたがデザイン墓石を建てようと思ったときに何から始められますか?
おそらく、インターネットでいろいろと調べるか、石材店に相談に行かれるかのいずれかでしょう。
では、あなたからの相談を受けた石材店は、その後の対応をどのように進めていくのでしょうか?
そこで、今回の記事は、あなたがデザイン墓石建立で失敗しないための最大のポイントについてお伝えいたします。
目次
1.工業デザインの第一人者、故栄久庵憲司氏から読み取る「デザイン」とは?
2015年2月8日に85歳で亡くなられた栄久庵憲司(えくあん・けんじ)氏は、様々な商品のデザインやロゴマークを生み出し、工業デザインの第一人者として世界的に知られています。
榮久庵憲司氏は1929年(昭和4年)に広島市の寺の住職の長男として生まれ、戦後16歳の時に焼け野が原となった広島の街で進駐軍の四輪駆動のジープの力強い形などを目の当たりにし、仏門ではなく工業デザイナーの道を目指すようになりました。
東京藝術大学を卒業後、工業デザインの会社「GKインダストリアルデザイン研究所」を設立して、ビジネスの世界に「デザイン」という概念を定着させ、様々な商品のデザインやロゴマークを作りだしました。
このうち、1961年(昭和36年)に発表したキッコーマンの卓上醤油瓶は、赤いキャップになめらかな曲線を描く瓶の形が使いやすく、暮らしになじむデザインとして大ヒットし、今でもこのデザインは変えられることなく海外でも親しまれています。
また、鉄道の車両やオートバイのデザインも数多く手がけました。
さらには、JRAやコスモ石油、ミニストップのロゴマーク、東京都のシンボルマークなども榮久庵氏の作品です。
1989年(平成元年)に名古屋市で開催された世界デザイン博覧会では総合プロデューサーを務めたほか、1998年( 平成10年)に設立された世界デザイン機構の会長も務めました。
こうした功績から、榮久庵氏は日本だけでなくフランスやフィンランドなど海外の勲章も受章し、工業デザインの第一人者として世界で高い評価を受けてきました。
その榮久庵氏が設立した、GKデザイングループ独自のデザイン哲学は「道具論」とのことです。
人類の歴史は、数十万年前、「道具」を手にした時から始まりました。
道具は、字のごとく「人の道の具え(そなえ)」として、人類とともに進化してきました。
GKデザイングループは、製品も機械も設備も、人がつくりあげた人工物はすべて「道具」と呼びます。
そして、こうした多くの道具たちを、人の意志によって生まれた「心ある存在」という視点でとらえます。
すなわち、「道具には心がある」という思想です。
出典元:朝日新聞メディアビジネス局「広告朝日」
このような考えに基づき「デザイン墓石」をとらえてみると、どうも見た目のデザインだけではなさそうですね。
また、公益財団法人日本デザイン振興会のホームページには次のように書かれています。
何らかの目的のための計画そのものが実は「デザイン」です。
色や形、技術や機能は、その目的を実現するための手段のひとつです。
デザインは常に「ヒト」が中心にあり、だからこそ社会を発展させる力を持っています。
誰かの生活を真に豊かにすること、またはその可能性があること。
それを達成しているものごとを我々は「よいデザイン」と考えます。
出典元:公益財団法人日本デザイン振興会ホームページ
こちらを見ても、やはり「人」が中心のようですね。
そう考えると、デザインによって何らかの「結果」や「問題解決」がなされてこその「良いデザイン」ということなのです。
2.デザイン墓石はいったい誰がデザインするのか?
ずいぶんと前置きが長くなってしまいました。
では、「デザイン」という言葉から私たちが思い浮かぶものとしては、
- クルマのデザイン
- 建築物のデザイン
- 服やバッグのデザイン
などのデザインがあります。
そして、これらのデザインは、
- カーデザイナー
- 建築デザイナー
- ファッションデザイナー
など、それぞれ、その道のプロデザイナーがデザインをします。
では、「デザイン墓石」はいったい誰がデザインするのかというと、なんと、デザインとは全く無縁の一般職の方がデザインしているケースがかなり多いのです。
「なぜ?」と思われるかも分かりませんが事実なのです。
なかには、墓石デザイナーをはじめとする、プロのデザイナーがデザインしたデザイン墓石を採用している石材店もありますが、多くは、石材店の営業マン、石材商社の営業マンや事務職員、中国の石材商社のスタッフなどがデザインしているのです。
今日では、日本中には色々なモノがあふれていますが、プロのデザイナーではない人がデザインしている高額商品なんてそうありません。
このようにしてデザインされた墓石が見た目だけでのデザインではなく、先ほどご紹介したようなトータル的に優れたデザインなのかはともかくとして、最終的に購入者が気に入ればそれはそれで良いというのが、一般的なデザイン墓石の現状なのです。
3.デザインの盗用は墓石業界では当たり前
同業者の間で常に話題に上るのが、「うちのお墓のデザインを盗まれた」という話です。
「優れた芸術家はまねをし、偉大な芸術家は盗む」とピカソは言った。だからすごいと思ってきたさまざまなアイデアをいつも盗んできた。
スティーブ・ジョブズ (アップル創業者)
スティーブ・ジョブズはこのような明言を残しています。
しかし、絶対許せないのが他家の墓石デザインの丸ごとコピーです。
石材店の営業マンが、無断で他人の墓所内に入り込んで写真を撮り、墓石の隅から隅までメジャーで測っている姿をたまに見かけます。
これ、意匠権の侵害どころか、家だと不法侵入です。
いくら商売とはいえ、マナーもモラルもあったもんじゃないです。
でも、このような卑劣な行為は決して珍しいことでなく、悲しいかな、墓石業界ではごく当たり前に行われていることなのです。
これじゃ、お客様の立場に立った「良いデザイン墓石」などできるはずがありません。
4.本当の意味での「良いデザイン墓石」とは?
ここでは、本当の意味での「良いデザイン墓石」についてご説明したいと思います。
もう、ここまで読んでくださったあなたなら、見た目だけでは良いデザイン墓石にならないことはすでにお気づきのことかとおもいます。
もう一度、前述の次の一文を思い出してください。
では、これらを墓石に当てはめてデザインしてみましょう。
「結果」としてのデザイン例では…
・外柵の入口をバリアフリー化にした結果、車イスの方でもお参りがしやすくなった。
・霊標(墓誌)を見やすい位置に設置した結果、彫刻したお戒名等の文字が見やすくなった。
・外柵の一部にベンチを設けた結果、ゆっくりと故人と語り合えるお墓になった。
次に、「問題解決」としてのデザイン例では…
ここにご紹介したお墓の「デザイン」は、当社の場合の一例にしか過ぎません。
石材店やお客様のご要望によっても提案するデザインは違ってきます。
しかし、いずれにしても、見た目だけのデザインにならないようにすることが、本当に満足できるデザイン墓石となる秘訣なのです。
5.まとめ
いざ、デザイン墓石を建てるとなると、
- シンプルでおしゃれなデザイン
- ツートンカラーにしたい
- 桜の花を彫刻したい
など、どうしても見た目のデザインばかりを優先に進めてしまいがちです。
しかし、本来のデザインの意味を考えれば、これだけではちょっと物足りません。
デザインを施すことによって得られる結果を追求する必要があります。
特にお墓の場合は、亡くなった人のためだけではなく、残された人のことをも考えたデザインであることが重要です。
いくら最高級の石を使ったお墓であっても倒れてしまってはどうにもなりません。
いくらおしゃれなデザインのお墓であっても納骨室の中が水浸しでは本末転倒です。
このあたりをしっかりと石材店と相談して後悔しない「良いデザイン墓石」を建ててください。
私たちに30分の時間をください!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
しかし、この記事だけでは、あなたのお墓への疑問を解決するにはまだまだ情報量が足りません。
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