庵治石の価格には理由がある|採石丁場で払う「年貢」
1955年(昭和30年)福岡県福岡市生まれ。
歌手の郷ひろみさんと生年月日・出身地とも同じ。
- 近畿大学法学部 経営法学科卒業
- 株式会社 第一石材 代表取締役
- 一般社団法人 日本石材産業協会 副会長
- 神戸市石材企業協同組合 代表理事
もともとは、店舗や小規模事業者への販売・営業指導のアドバイザーとして活動していたが、石材店への指導をきっかけにお墓業界へ入る。
売り手中心の考え方が色濃く残る業界に疑問を持ち、「日本で一番正直で最も信頼できる石材店であること」をモットーに、消費者目線でのお墓づくりを実践。
NHKやテレビ朝日「マツコ&有吉の怒り新党」など多数のメディアで紹介される。
全国デザイン墓石コンテスト「墓石大賞」を5回受賞。
一般社団法人 日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」。
特許・実用新案登録の独自構造墓石“納骨室に水が入らないお墓”「信頼棺®」を開発し、全国各地から問い合わせや建墓依頼が寄せられている。
絶対に後悔しないお墓づくりを追求し、お墓選びで後悔する人を一人でも減らすことを信条に活動している。
のじま
庵治石は、香川県高松市の庵治・牟礼地区で採れる、日本を代表する高級墓石材です。
その価格について、
「国産だから高いの?」
「希少な石だから?」
と思われる方も多いでしょう。
もちろん、それらも理由の一つです。
しかし、庵治石の価格には、石を山から採り出す段階から、さまざまな費用とリスクがかかっていることをご存じでしょうか。
その一つが、採石丁場の使用料です。
庵治石の産地では、この使用料を昔から「年貢(ねんぐ)」と呼びます。
今回は、普段なかなか知る機会のない、庵治石の採石丁場と「年貢」の仕組みについてご紹介します。
目次
1.庵治石を掘り出す「丁場」とは

石を採掘する山や採石場のことを、石材業界では「丁場(ちょうば)」と呼びます。
庵治石の丁場は、大きく三つに分けられてきました。
1-1.大丁場・野山丁場・庵治山丁場
一つ目が、庵治町丸山に位置する「大丁場」です。
旧高松藩御用丁場の流れをくみ、古くから良質な庵治石が採掘される丁場として知られています。
二つ目が、大丁場に隣接する「野山丁場」。
そして三つ目が、庵治町に位置する「庵治山丁場」です。
このほか、一部には個人所有の丁場もあります。
1-2.好きな場所を掘れるわけではない
採石業者だからといって、山へ行き、
「今日は、この辺を掘ってみようか」
というわけにはいきません。
各採石業者には、どの丁場の、どの範囲を採掘できるのかが細かく定められています。
つまり、庵治石は産地の山ならどこでも自由に採れる石ではないのです。
2.丁場の使用料「年貢」とは

庵治石を採掘するには、丁場の所有者に使用料を支払う必要があります。
この使用料が、庵治石産地で昔から「年貢」と呼ばれているものです。
個人所有の丁場などを除き、採石業者は所有者に年貢を支払い、採石する権利を得ます。
ここで重要なのは、良い石が採れたときだけ支払えばいいというわけではないということです。
たとえ思うように採掘できなくても、採れた石が製品として使えなくても、年貢は必要になります。
当然ながら、こうした費用も庵治石の原石価格に関わってきます。
「山から石を切り出すだけ」と思われがちな採石ですが、実際はそれほど単純ではありません。
3.庵治石の丁場は維持するだけでも費用がかかる

丁場には、使用料とは別に維持管理のための費用も必要です。
たとえば、丁場へ続く道路の整備。
採石した跡地の埋め戻しや植林。
さらに、防火用貯水池や砂防施設などの管理も必要になります。
巨大な石を山から掘り出す仕事ですから、周辺環境や安全への配慮も欠かせません。
庵治石の価格には、原石そのものだけでは見えないコストが含まれているのです。
4.「年貢」を払えば自由に採れるわけではない

では、丁場の使用料を支払えば、好きなだけ庵治石を採れるのでしょうか。
そうではありません。
採石には丁場所有者との関係だけでなく、法律に基づく許可も必要です。
採掘する量や期間などに応じて手続きを行い、その範囲内で採石します。
つまり、庵治石は採石量についても一定のルールのもとで採掘されている石材なのです。
これも、庵治石が一般的な石材とは少し異なる点といえるでしょう。
5.良い庵治石が出るかは掘ってみなければわからない

そして、採石業者にとって最も難しいのが、ここです。
多くの費用をかけて採掘しても、必ず良質な庵治石が出てくるとは限りません。
石は天然素材です。
同じ丁場であっても、場所や時期によって石質は変わります。
以前は良質な石が採れていた場所から、思うような石が出なくなることもあります。
逆に、採り進めた先から良質な石が現れる場合もあります。
地中の石を、完成した墓石のように外から見て選ぶことはできません。
だからこそ、庵治石のお墓を検討する際には、単に「庵治石を扱っています」というだけではなく、その時々の原石の状況や産地の情報を把握している石材店かどうかも大切だと私は考えています。
6.まとめ|庵治石の価格には「山の事情」もある

庵治石が高価なのは、単に「有名な石だから」という理由だけではありません。
採石するには丁場の使用料である「年貢」が必要です。
道路整備や植林など、丁場を維持するための費用もかかります。
採石にも一定のルールがあり、しかも費用をかけたからといって、必ず良い石が採れるわけではありません。
こうした背景を知ると、完成した墓石だけを見ていては分からない、庵治石の価値が少し見えてくるのではないでしょうか。
お墓に使われる石は、完成品になるまでに多くの人の手を経ています。
中でも庵治石は、採石・加工・流通まで、産地とのつながりが非常に重要な石材です。
庵治石のお墓を選ぶときには、石の名前や価格だけではなく、どのような石を、どのような経路で仕入れ、どのように判断している石材店なのか。
そこまで確かめることが、後悔しないお墓づくりにつながると思います。
※本記事は、谷本竹正氏著『天下の銘石 庵治石』(非売品)に記載された内容を参照・引用し、趣旨を変えない範囲で読みやすく再構成したものです。
7.庵治石のお墓をお考えの方へ

第一石材では、庵治石をはじめとする国産石材について、石の名前や産地だけで判断するのではなく、実際に使用する石の状態を確認しながらご提案しています。
庵治石は、同じ名称であっても石目や状態に個体差がある天然素材です。
だからこそ、「庵治石なら何でも同じ」ではありません。
庵治石のお墓について、
- 「どのように選べばいいのか分からない」
- 「価格の違いの理由を知りたい」
- 「石材店によって何が違うの?」
といった疑問がありましたら、お気軽に第一石材へご相談ください。
お客様にとって本当に納得できるお墓づくりを、一緒に考えさせていただきます。
【実録映像】お客様インタビュー動画(00:03:33)


