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5. 2014年の中国石材工場の動向

5. 2014年の中国石材工場の動向
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石材業界専門誌、月刊『石材』2014年1月号と2月号(株式会社 石文社発行)に、
「中国・福建省石材行業協会・墓石専門委員会」が調査した、
福建省における墓石類の生産と経営状況について調査した結果と、
今年の経営方針などを同業各社に伝えた内容が掲載されていましたので以下にご紹介いたします。

 

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中国における墓石の生産規模は縮小傾向に

様々な石材加工業者が存在する福建省内の墓石加工業者数については、
昨年、2013年11月の調査では610軒あり、その内訳は恵安地区310軒、
南安地区80軒、福州地区20軒、厦門地区と漳州地区で200軒となっています。

2010年10月の調査では、861軒(恵安400軒、南安100軒、福州80軒、
厦門と漳州で281軒)ということは、この3年間で251軒(29.2%)の工場が無くなり、
生産規模が約三分の二に縮小していることが判明いたしました。

2013年に輸出した墓石関連の受注件数については、前年比で約12%減少。

地域別では、ヨーロッパに次いで、日本市場は二番目に落ち込みが大きかったようです。

日本からの受注量が落ち込んだのは、伝統的な和型墓石が大幅に減少し、
代わりに小型で個性的な洋型墓石と簡素な外柵が採用され、
墓石1件あたりの石材使用量が大幅に減少したことが要因の一つに挙げられます。

 

 

中国・福建省の墓石加工業者が直面する4つの問題

①原石と諸費用の大幅な値上がり

2~3年前から中国産石材の採掘量が減少し、石質の低下と原石単価の高騰を引き起こしています。

福建省内ではG623、G614-7及びG614-C、G654長泰中目、崇武603、G635、
新山崎、G670などの丁場で採掘が全面停止、G663、G664、G603などは部分的に停止、
または、行政の監視に隠れて夜間に採掘しているような状態です。

福建省以外でも、河北山崎、山西黒(以前の10%~20%の産出量)、中国マホガニーなどが、
環境問題への配慮などの要因で部分停止し、今後は全面停止になる可能性もあるようです。

また、中国国内での霊園、あるいは公共工事などで石材使用量が急激に増加しているため、
日本市場への石材の供給が制約されがちな状況になっています。

日本と違い、品質に対する要求が緩い中国国内市場への出荷が増える一方で、
日本市場の単価と品質に見合う石材が少なくなってきています。

 


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価格が急騰しているインド産石材

 

日本の墓石市場向けの中国産石材の減少とともに、インド産石材の価格が高騰しています。

インド材はすでに売り手市場になり、単価の高騰とともに、品質の低下も懸念されるところです。

値上がりの幅の一例としては、中国産のG614が2.08倍、AG98が1.49倍、インド産のアーバングレーが2.75倍、
YKDが2.22倍、Y-1が2倍、M1-Hが2.18倍と、とりわけインド材が大きく値を上げています。

さらに、中国国内で石油価格が継続的に値上がりしているため、
関連する諸費用や運送費なども、約5%~10%アップしています。

 

 

②人民元の継続的な切り上げ

2013年の人民元の切り上げは5%くらいで、今年も同程度の切り上げが予想されていますが、
その変動幅はかなり大きくなるというのが今後の見通しです。

為替の変動に対して価格にどの程度の許容度があるかにもよるが、
それが、墓石の輸出に大きな影響を与えるものと予想しています。

 

 

③賃金、及び福利厚生費の大幅上昇

中国経済の発展と共に、あらゆる物価が上昇しています。

また、労働法や労働保護政策により、従業員の賃金が大幅に増えており、
さらに雇用の安定や生産量を確保するため、この5年間で一部の行員の賃金は3倍以上になっています。

 

 

 

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数多くの石材加工工場が集まる、中国・福建省、恵安地区

 

④人手不足による経営困難

300軒ほどの墓石加工工場が集まる恵安地区では、大部分の工場で手磨きと手動研磨、
切削作業の行員がかなり不足しており、そのため生産力は大幅にダウンし、
管理費が上昇したことで、企業の収益がひどく低下しました。

同地区の調査によると、現状でやや黒字だった工場が4割、利益ゼロが3割、赤字は3割との事。

同地区の墓石工場は毎年十数件が閉鎖または転業に追い込まれているといいます。

 

 

今年の経営方針について

2014年4月に消費増税となる日本市場をはじめ、各国の経済情勢は楽観できない状況にあり、
中国国内においても、墓石業界を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況が続くものと見ており、
福建省石材行業協会・墓石専門委員会では、今後の経営方針として以下の提案を同業各社に伝えています。

①2014年3月1日からの受注分から、加工賃を若干値上げし、原石の値上げは実勢価格に合わせて調整する。
 また、為替の変動にも対応できる位の余裕を持たせる。

②行員の無秩序で悪質な引き抜きを防ぐため、昨年より5%程度の賃金アップとする。

③商社と加工業者合同で、世界各国から墓石用原石を調達する組合をつくり、
 仕入れ価格を安定させ、悪質な競争や独占を防ぐ。

④景観保護や安全確保の規制を守りながら採掘できるように政府に陳情し、
 石材資源の計画的な利用により墓石業を存続させる。

⑤不適切な安売りや悪質な競争を強く取り締まり、撲滅させて市場の安定化を図る。

 


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粉塵対策等の環境整備が整った墓石加工工場

 

投資拡大により、労働環境の改善に努め、機械設備の自動化に向けた研究・開発に力を入れ、
生産コスト削減に努力するとともに、工場、及び経営環境を改善し就労意欲を向上させる。

⑦お客様とのコミュニケーションを強化し、現実的な困難と問題点について事実を説明し、
お客様のご理解と支持を頂き、誠心誠意をもって協力・対応し、
相互利益の理念に基づいた長期的かつ健全な発展を目指す。

なお、福建省石材行業協会・墓石専門委員会では、同協会が発表した、
「福建省墓石加工行業規則」を各工場が遵守し、コストを抑え、品質向上を目指し、
お客様の権益を極力守り、さらに自発的に行動することで、
「業界の継続的な存続と健全な発展に向けて努力してほしい」として各社に協力を求めています。

 

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ここに紹介させていただいた、中国の墓石加工工場の現状を見る限りでは、
中国で加工・製作された墓石を以前のような安価で購入できる時代は終わったかのように思います。

それでも、日本国内でつくられる墓石と比較すれば、
中国で加工・製作する方が断然安いことには変わりありません。

お墓を購入されるにあたりましては、単に値段だけを比較するのではなく、
細部に渡って検討されることをお薦め致しますが、一般消費者の方々には難しい課題かも分かりません。

※参考・引用文献:月刊『石材』2014年1月号・2月号(株式会社 石文社発行)

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