5.大きく差がでる品質の違い!
近年における中国においては、急速な経済発展により、
「3K」の仕事に該当する墓石加工をする工員へのなり手が少なく、
石材加工工場の大半が、慢性的な人手不足に悩んでいるのが現状です。
そのため、今現在、工場に残って働いている工員の引き留め工作や、
良い条件提示で新しい工員を確保するため必然的に人件費が高騰します。
それにもまして、円安による為替レートの影響もあり、
今年は中国産墓石の大幅な値上げが予想されています。
為替レートによる実質値上げや工員不足については、
私たち小売店としてはどうすることもできませんが、
これからの中国産墓石の製品加工精度はいったいどうなるのでしょう。
ここ1、2年、加工レベルの全体的低下が目立つ中国製品。
中国福建省の沿岸部にある世界最大の石材加工地である崇武(そうぶ)地区。
このあたりには、数百件規模の石材加工工場が軒を連ねています。
リーマンショック以前には数千件もの工場がありましたが、
現在は商売替え、廃業、倒産等でその数は激減いたしました。
そして、私が中国に行き、現地のさまざまな工場を見て来た感じでは、
ここ1、2年の中国の石材加工工場は全体的に加工技術のレベルが落ちています。
しかし、依然として昔と変わらない高度な加工精度の
レベルを保っている石材加工工場もたくさん存在します。
それらはすべて元来より値段の高い工場です。
弊社が加工をお願いしている工場も非常に値段の高い工場です。
値段の高い工場は、当然工員にも高い給料を払っているわけですから、
ベテラン工員の定着率も良く、新しい工員の募集にも事欠きません。
値段は高いかわりに、使用する原石もランクの高いものを使用し、
「ごまかし加工」もなく安心して販売できる製品として仕上がってきます。
今回予想される値上げは中国の石材加工工場全体の流れなので、
元々値段の高い工場はより高くなり、安い工場もそれなりに高くなる、
…といった感じの全体的な値上げにおそらくなるのでしょう。
ますます重要になる石材店選び!
問題は、石材店がお客様から注文を受けたお墓を石材商社に発注後、
石材商社が中国のどこの工場に発注するかにかかってきます。
例えば、石材店がお客様からとことん値切られたため、
今度は、石材店が石材商社を相手に仕入れ値をとことん値切るとしたら、
石材商社としても、中国の石材加工工場に対して価格交渉をするか、
使用する石の品質や加工精度に少々問題があったとしても、
値段の安い石材加工工場を探して加工をするしか仕方ありません。
また、元来より中国の値段の安い工場ばかりと取り引きし、
価格の安さを武器に卸し売り展開をしている石材商社もあります。
もちろん、その安さが魅力で取り引きをする小売りの石材店もたくさんあります。
こうなってくると、消費者に良いお墓を提供するというよりも、
いかに安いお墓を提供するかということが本質となってしまいます。
いずれにしても、墓石を購入する一般消費者の方々が
これら中国の石材加工工場を選ぶことは出来ませんし、
石材店も石材商社を通して中国産の石材製品を仕入れている以上、
中国の石材加工工場の状況を完全に把握することは難しいでしょう。
出来上がってくる墓石製品の具体的な仕上がりの差としては、
一般の方には建てて間もないうちは見分けがつかないでしょうが、
同じ種類の石でも使用する原石のランクが工場によって異なります。
また、石材店が指定した寸法通りの加工に仕上がっているか、
研磨の状態、手加工による部分の仕上がり精度などのさまざまな箇所で、
加工する工場によって生じる差はこれから益々大きくなってくるでしょう。
特に「デザイン墓石」など複雑で手加工の部分が多くなるものは、
一目見てわかるくらいの歴然たる加工技術の差が出てくるでしょう。
今後、中国で加工・製作された墓石を購入される際には、
これまでにも増して、購入する石材店選びが重要になってくるでしょう。