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中国産やインド産の墓石材に石材店が独自の名前をつける理由とは?

中国産やインド産の墓石材に石材店が独自の名前をつける理由とは?
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スーパーに行けば、マグロは「マグロ」、カツオは「カツオ」と表示されていますし、リンゴは「リンゴ」、バナナは「バナナ」と表示され販売されています。

 

ごくごく当たり前のことですが・・・

もし、スーパーごとに異なった名前で魚や果物が販売されていたらどうしますか?

 

こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。

(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。

のじま

きっと、「そんなことあり得ない…」と言われるでしょうね。

 

しかし、墓石業界ではあり得るのです。

それも、ごく普通にです。

 

今回の記事は、中国を含む外国産の墓石が日本で販売される際に、石種ごとにまちまちな名前をつけて販売されている現状についてのお話です。

 

いったい、何が目的でこのようなことをするのでしょうか?

お墓をどの石材店で買えばいいのかを選ぶ際の指針の一つとなりますよ。

 

1.外国産の石材にも正式名称がある

外国産の石材にも正式名称がある

世界一の石のマーケットと称される中国の石材加工工場の多くは、中国・東南の沿岸部、福建省の経済特区「厦門(アモイ)」から100㎞ほど離れた地域である「泉州(せんしゅう)」、そして、さらに数十キロ離れた「恵安(けいあん)」や「宗武(そうぶ)」という地域に集まっています。

ちょうど、台湾から海を挟んで西向かいあたりに位置します。

 

それらの工場の数は数百にも上り、お墓だけではなく、建築石材や環境石材など、あらゆる石製品がこの地域で加工されています。

使用される石材も、中国産のみにとどまらず、インド、ヨーロッパ、南アフリカ、アメリカ、南米などの様々な地域で採掘される原石がこの地域に集まり、墓石や彫刻品、建築用石材製品に加工され、日本を含むアジア諸国や欧米など世界中に輸出されています。

 

日本で採掘される石には、「庵治石」「大島石」「天山石」など、きちんとした名称がつけられているのが当たり前ですが、中国やインドで産出される石の多くは、採石される地域や採石場を現す記号・番号が、そのまま、その石の名称とされています。

中国産の石では、「G623」「G614」「AG98」「K12」「G354」など、インド産の石では、「M-1H」「MU」「YKD」「M-10」などの名称です。

 

これらの名称が、中国の石材加工工場で製品として加工され、日本向けに墓石として輸出される際の正式名称なのです。

 

2.消費者に高級イメージを与えるための独自名称

消費者に高級イメージを与えるための独自名称

お墓を取り扱う石材関連業者のすべてが、これらの正式名称にて販売をすることが望ましいのですが、記号と数字の組み合わせである正式名称では「高級墓石材として販売しにくい!」などの理由で、それぞれ独自の、様々な名称をつけて販売している業者が数多くあります。

 

日本の銘石である「庵治石(香川県産)」や「大島石(愛媛県産)」に、見た目が少し似ている(品質は全く違う)からという理由でだけで、中国で採掘された石に、「○○庵治」や「△△大島」といった名前がつけられていたりします。

 

これらは、あたかも日本の高級墓石材と類似石種であり、品質や耐久性も変わらず、こちらを買った方がお買い得であるかのようなまぎらわしい名称や、高級感をイメージさせるような日本的な名前がつけられています。

 

ともすれば、トラブルの原因となることもめずらしくなく、消費者への不信感につながってしまう恐れもあります。

 

3.他社との相見積もりをしにくくするための方策

他社との相見積もりをしにくくするための方策

石材店をはじめとする石材関連業者が石材に独自の名前を付けるのは、他社との相見積もりを行いにくくするための理由もあるのです。

 

たとえば、A社という石材店で、中国産の「AG98」という石で墓石の設計と見積もりをしてもらったとしましょう。

もちろん、A社の見積もりには、きちんとサイズが明記された詳細設計図と3次元CADによるカラーの完成予想図も添えられています。

その見積書と図面をB社という石材店に持っていけば、同業者なので、当然「AG98」の相場価格はすぐ分かります。

 

ましてや、サイズまで明記された設計図まであれば、なおさら簡単に見積もり金額を計算できます。

そこで、B社は、当然、A社より少しでも安い金額を提示するのです。

 

ところが、もしA社の見積書に「AG98」ではなく、本来の名称とまったく関係のない「○○大島」や「△△御影」など、いかにも国産の石材のような名前で記載されているとしたらどうでしょう?

A社が独自に名前を付けた「○○大島」や「△△御影」等の名称の石では、B社が見積書を見ても、本来の石種を特定することが難しくなってきます。

 

このように、他社と競合になった場合に、相見積もりを行いにくくするために、外国産石材に自社独自の名称をつけているのです。

 

4.まとめ

もし、食品スーパーの店頭に並んでいるマグロやカツオが、それぞれの店ごとに異なる名前で売られていたとしたらどうなるでしょう?

 

おそらく、大問題になるでしょう!

…いや、法的に問題があるかも分かりません。

 

このように、私たちの身の回りにある多くの商品では在り得ない様なことが、墓石販売の業界では、ごく普通に行われていること自体、いかがなものかと感じます。

 

日本最大の石材関連業界団体である(一社)日本石材産業協会でも、こうした業界の不信感を払拭し、消費者への信頼を築く意味でも、石種の名称統一を目指してきましたが、規定法律や強制力がないため、どうすることもできないのが現状です。

 

これらのまちまちな名称は、中国側が意図的に行っているわけではなく、利益追求に走る、日本国内の墓石販売業者が各会社ごとに行っているものです。

独自につけられた名称が、法的には問題ないのかも知れませんが、消費者の立場に立った商売とは言い難いものであります。

 

このような業者は、あなたのお墓購入石材店の候補から外した方が無難かもしれません。

 

 

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