7.複数の要因が値上がりの原因

ここ数年、毎年のように続いている中国産墓石の値上がりは、
中国国内の物価上昇や工員確保のための人件費の高騰だけが原因ではありません。
これらのことが、石材業界誌の「月刊石材」(株式会社石文社発行)1月号に
詳しく掲載されていますので、以下にご紹介させていただきます。
▲10年前から機械設備の自動化を進めている工場もあります。
月刊「石材」1月号掲載『中国石材製品2013』
環境問題等により中国政府が決定した丁場の閉鎖に伴う他の原石価格の高騰や
人件費の高騰を考え、全自動研磨機の導入など工場の機械設備の自動化、
工員宿舎などの労働環境改善のための設備投資なども値上がりの原因となっています。
それだけに留まらないのが、今年2013年の値上がりです。
昨年末に、中国の福建省石材協会碑石専業委員会は各工場に対して、
2013年1月1日から墓石製品の値上げを行うよう提案書を出しています。
もちろん、各工場のすべてがこれに従うとは思えませんし、
日本の業者側が了承するかなど、様々なケースが考えられますが、
福建省の石材産業全体の問題としては「値上げ必至!」という状態です。
また、2012年の11月末には、中国・福建省の厦門(アモイ)港から
日本への海上運転に伴う付加費用の支払い規定が船会社により
急きょ改定され、2012年12月1日からすでに実施されています。
具体的には、これまで日本の輸入業者が支払っていた、
「FAF(燃油サーチャージ)」、「YAS(円高損失補填料金)」、
「EBS(緊急燃料割増料金)」などは、海上運賃を支払う業者が
一緒に負担する、ということに改定されました。
これらの付加費用は毎月の変動制であり、
航空運賃の燃料サーチャージのようなもので、
通常の運賃の他にかかる別途費用のことです。
また、これらは石材業界だけにかかわらず、
あらゆる業種に適用されるとのことです。
今回の改定は急きょ発表されたことであり、
これまで海上運賃を支払ってきた中国の各輸出業者は、
その付加費用を見積り金額に加算していないのが実情です。
これは、福建省内の石材輸出業者も同様で、
「付加費用を中国で支払うと赤字になってしまう!」
といった声が業者の間で数多く聞かれます。
▲注文ごとに石材製品を仕分け梱包。
また、同じく12月1日から、厦門港におけるコンテナヤードでの
石材1梱包あたりの積み下ろし費用が2倍に値上がりし、
この費用も中国側にとっては値上げ要因の一つとなっています。
すでに、日中各社の間では、付加費用の支払いについて、
順次調整されていると思われますが、物流業者との情報交換も含め、
両国にとって最善となる方法の確立が急がれます。
このように、2012年12月から多様な動きが出てきている、
中国の第五代中国共産党中央委員会総書記に就任した習金平氏は、
「2020年までに給料の倍増を!」という計画を打ち出したらしく、
労働者の賃金が上昇するのは明らかで、あらゆる中国製品の価格は、
今後はさらに値上がりしていく傾向にあると考えられます。
こうした状況を考えますと、その度合いは別として、
中国産の墓石は今年も値上がりするという見方が正しく、
さらに言えば、「今後毎年、値段は上がっていく」と予想されます。
※参考文献:月刊「石材」2013年1月号(株式会社 石文社発行)