関西人気№1の国産墓石「大島石」の価格・特徴・選び方を徹底解説
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。
のじま
お墓を建てるときに、真っ先に気になるのが価格と品質です。
かと言って、過去に購入経験がない商品だけに、さっぱりわからないことかと思います。
- 国産にしようか?
- それとも中国産にしようか?
こちらも迷うところですが、「お墓は長く使うものなので、やっぱり国産にしよう!」と考える人も少なくありません。
そこで、多くの関西人が選ぶのが「大島石」なのです。
今回の記事は、私どもの地元である兵庫県神戸市を含む関西方面で国産墓石といえば、なぜ大島石が選ばれるのか?
そして、大島石の価格や選ぶ際の注意点についてもお伝えしたいと思います。
目次
1.関西では淡い色の石が人気
関東や東北、九州地方のお墓といえば、黒みかげ石系を中心とした濃い色目の石がその昔から好まれる傾向にあります。
しかし、関西では、どちらかというと淡い色目の石が好まれます。
近年では、関西の墓地でも洋墓やデザイン墓石の普及で、黒や深緑色など濃い色目の墓石が建てられるようになりましたが、黒みかげ石でつくられた和型の墓石となるとほとんど見かけません。
どちらかというと、大島石のような「青みかげ石」系の石の方が人気があるようです。
ただし、関東では、大島石のような淡い色目の石は「白みかげ石」として分類されます。
たしかに、私たち石材店は大島石を「青みがかっている」という表現をしますが、消費者から見るとグレーという表現の方がわかりやすいかと思います。
なぜか、優しい色目が特徴の大島石は、関西人の好みに合ったのかもわかりませんね。
2.お墓に大島石を選ぶ理由
なんとなくの流れから大島石を選んだ。
これ、結構よくあるんですね。
たとえば、
- 本家のお墓が大島石だった
- お寺の住職に大島石を勧められた
- 隣近所の墓地のお墓も大島石だから
- 「大島石」というブランド
また、とにかく国産といえば大島石を勧める石材店が多いのです。
その理由としては、
- 店主の好み
- 石材商社が勧める
- かつて自社加工で使っていた
これは、石材店の店主の好みや石材商社が大島石を勧めるといった理由や、かつて昭和の時代に自社加工をしていたころに主に使っていたのが大島石という場合もあります。
このように、消費者の好みとさほと関係なく、なんとなくの流れや勧められたから大島石を選んだというケースも少なくありません。
3.大島石ってどんな石?
ひと口に「青みかげ石」といっても、国産から外国産まで数多くあり、その数は数十種類にも及び、色目・石目・品質も大きく異なります。
そんな中でも、関西方面で人気が高い青みかげ石といえば、何といっても「大島石」が一番と言っても過言ではありません。
国産高級墓石材の中でも指折りの大島石は、四国、愛媛県今治市に属する「大島」という島で産出されます。
大島石は「硬い」「研磨の艶持ちが良い」「変色しにくい」という優れた特徴を持ち、何年経ってもその風合いの変化が少ないという石質が好まれ、古くから西日本を中心に数多くの墓石に使われてきました。
また、墓石以外にも多くの歴史的建造物にも使用されており、国会議事堂、赤坂迎賓館、大阪戎橋、愛媛県庁舎などがあります。
4.大島石のお墓ならすべて安心?
いくらすばらしい大島石といえども、石は天然素材ですので同じものは二つとしてありません。
人の顔がそれぞれ違うように石も色目や石目が異なります。
せっかく大島石でお墓を建てるわけですから、「見た目も品質も良いものにしたい」と思われても当然でしょう。
伊予の銘石、大島石は採掘される場所により、大きく分けて、
- 宮窪町の一等石
- カレイ山のカレイ石
- 吉海町の二等石
に分類されます。
そして、一等石の中でも、石目が細かく色目が濃いものを、「大島石特級」というランクで流通しています。
では、「大島石特級」でつくった墓石なら安心か?というと、決してそうとは言えないのです。
これは、大島石だけに限ったことではなく他の石でも同じですし、料理でも同じことが言えます。
最高の食材があれば、誰しもがおいしい料理を作れるのか?というとそんなことはないはずです。
大島石も同じく、いくら良い原石であってもつくり手によって良くも悪くもなるのです。
5.大島石の墓石の大半は中国加工
もしかして、大島石の墓石は日本でつくられていると思っていませんか?
まぁ、日本で産出される石ですから、日本で墓石として加工されると考えるのは当然ですよね。
しかし、実は違うのです。
日本の市場に流通している大島石の墓石の大半は、中国の石材加工工場でつくられているのです。
おそらく、大島石の墓石全体の70~80%以上が中国加工でしょう。
信じがたいでしょうが事実なのです。
大島石の原石を大量に中国の石材加工工場に輸出し、現地で完全に墓石として加工され再び日本に輸入されるのです。
その目的は「コストダウン」です。
ただ、それだけの理由です。
では、日本でつくるのと中国でつくるのと、どちらの大島石の墓石が良いのでしょうか?
そりゃ、例外を除けば間違いなく日本です。
その理由は、モノづくりに対する根本的な考え方の違いです。
それでも、素材自体が国産であれば、現在の日本の法律では「国産墓石」と表示して販売しても問題ないのです。
消費者側からすると納得いかないかもわかりませんが、中国でつくられた大島石の墓石も国産墓石なんです。
価格は当然、国内加工の方が高いですが、価格以上の値打ちはあると思います。
逆に、中国加工の大島石の墓石は、価格も安いが大ハズレに当たる確率も低くありません。
大当たりは、まずないと考えた方がいいでしょう。
6.大島石のお墓を選ぶ目的は何?
これまで、大島石の墓石についていろいろとお伝えしてきましたが、なぜ大島石のお墓を選んだのでしょう?
- 色目・石目が好みだから
- 品質面で安心できるから
- 国産高級墓石でお墓を建てたというステータス
- 親戚が集まる納骨式の際に見栄を張れる
おそらく、人それぞれに理由があるでしょう。
しかし、いくら最高級の大島石でつくったお墓であっても、建てて数年で傾いたり、ちょっとした地震で倒れてしまうようでは意味がありません。
また、大切な人のお骨を納めるカロート(納骨室)の中に水がたまるような構造だったとしたら、どうしますか?
「えっ!?」と思われたかも分かりませんが事実なのです。
実は、日本のほとんどの地域のお墓の構造は、カロートの中に水が入ってしまう構造なのです。
なかには、水がたまり骨壺が水没していたり、ハチが巣を作っていたりすることもあります。
外から見る分にはまったくわかりませんし、亡くなられた方は文句も言えません。
そして、石材店もお墓の中に水が入ることは言ってくれません。
せっかく日本の銘石である大島石でお墓を建てたのですから、ステータスも見栄もあって当然ですが、大地震にも耐えうるきちんとした施工や、肝心要の大切な家族のお骨が納められているカロートの環境もちょっと考えてあげてみてはいかがでしょうか。
いくら最高級の大島石でつくったお墓であっても、あなたの大切な人のお骨が水びたしになっているとしたら、あなたは耐えられますか?
7.まとめ
ひと口に大島石の墓石といっても、なかなか奥が深いことをご理解いただけましたでしょうか。
料理の場合は、安い素材をうまく調理して、値段も安くボリュームたっぷりの定食屋さんなどがありますが、お墓に関してこれを求めるのは極めて難しいでしょう。
安い大島石の墓石は、使っている原石もそれなりですし、加工や磨きの精度も今一つというのが定番です。
これは、大島石に限ったことではありません。
国産、外国産に関係なく、すべての石に言えることです。
そして、それに加えて大切なのが、墓石の構造と墓地での施工です。
いくら最高級の大島石のお墓であっても、簡単に倒れてしまっては元も子もありません。
また、大切な人が眠るカロート(納骨室)の中に水が入ってしまうようでは本末転倒です。
良い石選びも大切なことかもしれませんが、今一度、お墓の本質を考えてみてはいかがでしょうか。
『国産の大島石で墓石を建てても必ずしも良いお墓にならない3つの理由』
『大島石のランク・等級・価格だけで選んではいけない墓石加工の現実』
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