お墓購入時の注意点!「墓石の国産の定義」とは?
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。
能島
「国産」とは、いったいどういうことを言うのでしょうか?
辞書で調べてみると・・・
自国で生産・産出すること。また、その産物。
と書かれてあります。
つまり、
日本で作られたり、日本で採れたもの。
また、その土地に産する品物。
ということになります。
ということは、材料は日本製だが、製作は外国というこも考えられるわけです。
当然、その逆もあるでしょう?
墓石も今や、日本国内に流通している80%以上は中国でつくられたものという時代です。
そんな中でも、「やはり国産のお墓を選びたい」という方もいます。
その理由は、やはり安心感からでしょう。
そこで、注意していただきたいのが、墓石における「国産の定義」です。
「そんな国産墓石なら買わなけりゃよかった」なんてことにならないために、しっかり覚えておいてくださいね。
目次
1.消費者が考える「国産墓石」とは?
一般消費者が国産墓石を選ぶ理由はどこにあるのでしょうか?
おそらくですが、
- 日本の石だから安心
- 国産だから品質が良い
といったところではないでしょうか?
では、一般消費者に「国産墓石はどこでつくられていますでしょうか?」という質問をしたら、どのような回答が返ってくるでしょうか?
ほとんどの方の回答が「日本でしょ!」です。
中には、「おたくの石材店でつくってるんじゃないの?」と言われる方も一定数います。
つまり、一般消費者が考える国産墓石とは、「日本で採れた石を日本でつくる墓石」なのです。
2.日本の石を中国で加工しても「国産墓石」!?
実は、「国産墓石」と称して販売されているものの多くは、日本の石を中国に送り、完全に墓石として加工され、再び日本に輸入されたものなのです。
こうして、現在、市場に流通している「国産墓石」と称される約80%は、中国の石材加工工場でつくられています。
そして、これらの墓石は、石材店の店頭やチラシで、堂々と「国産墓石」と表示されて販売されています。
しかも、現在の法律ではまったく問題はないのです。
グレーゾーンのような感じでしょうかね・・
けれども、多くの消費者は、「日本の石を使用し、日本国内でつくられたもの」という認識をしていると思います。
もし、石材店から「日本の石だが中国でつくっています」と正直に聞かされていたら、おそらく、買わなかった消費者もかなりいるのではないでしょうか?
3.「国産牛」と「和牛」の違い
余談になりますが、「国産牛」と「和牛」とはまったく意味が違うのだそうです。
日本国内で飼育された牛は、どんな種類の牛であってもすべて「国産牛」と呼びます。
日本で生まれ育った牛は当然ながら国産牛ですが、たとえば、生まれは外国(外国種)であっても、輸入されて日本で3カ月以上育てられた場合も「国産牛」と言います。
つまり、生きたまま輸入された牛は、アメリカ産やオーストラリア産だろうと関係なく、3カ月以上日本で飼育されれば「国産牛」になるのです。
人間ならば、国籍を取得するためには、かなりの年月を要するのですが、牛の場合はたった3カ月です。
このように、国産牛の定義は広くなっています。
しかし、「和牛」とは、日本古来の在来種をもとに、交配を繰り返して改良された食肉専用種のことを言います。
現在では、
- 黒毛和種
- 褐色和種
- 日本短角種
- 無角和種
の4品種の総称名を「和牛」と呼び、その他を「国産牛」と呼んでいます。
こうした牛肉のことも、いったいどれだけの消費者が知っているかは疑問です。
一時期、日本国内で大騒ぎになった「口蹄疫」問題の時に、マスコミで大きく報じられ、はじめてこの事実を知った方もいるでしょう。
しかし、スーパーの店頭で「国産牛」と書かれた牛肉が並んでいたら、これはきっと美味しいのだろう、と買っておられる方は意外と多いかも・・・
でも、牛肉に関しては、一応前述のように定義付けをし、きちんと区別をして流通・販売されています。
もし、牛肉の定義を知らずに買ったとしても、「知らなかった!そんなことなら、次からは和牛を買おう!」で済むでしょうが、お墓はそういうわけにはいきません。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
あなたは、墓石の「国産の定義」をご存知でしたか?
墓石における国産とは、
- 国内加工の国産墓石
- 中国加工の国産墓石
どちらも「国産墓石」なのです。
悲しいかな、これは法的にも問題ないのです。
仮に、法的には問題はないにしても、消費者に正確な情報を伝えるためには、最低でも「○○石/中国加工墓石」程度の表記や口頭での説明は、高額商品であるお墓を販売する側のモラルとして必要なのではないでしょうか。
そして、国産の石材を使用し、日本国内でつくられた墓石には「○○石/国内加工」と表示し、消費者側がきちんとした判断ができるようにするべきです。
国産墓石に関しても、「国内加工」「中国加工」の区別をきちんと明確に定義付けをすることが、業界として考えなければいけない時代になっているのではないでしょうか。
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