雨の日のお墓への納骨式はお施主様も嫌だがご先祖様はもっと嫌なはず!?
今年は例年になく早い梅雨入りです。
近畿地方などは観測史上最も早い梅雨入りとなったようです。
本来なら5月といえば、からりと晴れた爽やかな日が続くはずなので、お墓の開眼法要や納骨式の予定を組んでいる方も多いかと思います。
こんにちは。(一社)日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」の能島孝志です。
兵庫県神戸市で、“カロート(納骨室)に水が入らない特許構造墓石”『信頼棺®』を販売する、(株)第一石材の代表を務めさせていただいております。
のじま
お墓の開眼法要や納骨式は、基本的には雨天決行です。
大雨警報レベルでも行うのが一般的です。
お寺の僧侶などの関係者や、親族の方々もあらかじめ予定を組んでいるので、日時の変更が難しいという理由からかもしれません。
でも、お施主様にしてみたら、やはり雨はイヤですよね。
「だから、5月にしたのに・・」という声が聞こえてきそうです。
しかし、雨天の納骨式が嫌なのは、お施主様だけではありません。
お墓の中に納められようとしている、お骨となった亡くなられた家族やご先祖様も嫌なはずです。
いったい、どういうことなのでしょう?
目次
1.実は…、お墓の中は水びたし!?
亡くなった大切な方のお骨をお墓に納めるための納骨式。
言うなれば、故人が新しい住まいへお引越しする儀式です。
おそらく、誰しもが「安らかにお眠りください」と手を合わせられることでしょう。
そんな神聖な場所であるお墓の中が、水びたしになっているとしたら、どうしますか?
地元の老舗石材店に建ててもらったお墓だから「そんなはずはない!」、と言われるかもしれません。
しかし、日本全国のほとんどの地域のお墓は、納骨室の中に水が入ってしまう構造なのです。
また、水だけではなく、クモやムカデが住み着いたり、ハチが巣を作ったりもします。
これは、特にめずらしいことではありません。
ただ単に、消費者の方々が知らないだけなのです。
大手石材店であろうが、老舗石材店であろうが関係ありません。
2.お墓の中は墓石業界の秘密
お墓の中に水が入ることは、石材店なら誰しもが知っていることです。
むしろ、知らない石材店を探す方が難しいくらいです。
ただ、これまでの長きにわたり、解決する方法がなかったため、あえて消費者にその事実を伝えなかっただけなのです。
納骨日が決まると、前日や当日に、事前にお墓の納骨室を開けて中を確認します。
クモやムカデなどがいるのは、ごく当たり前。
水が溜まっていたらくみ出し、お施主様や僧侶等が来られるまでに綺麗にしておくわけです。
お恥ずかしい話ですが、かつては、当社もそうしていましたから・・・
そこから先は、お墓参りのたびに、お墓の中を開ける方もいないので、消費者が知る由もありません。
このようにして、お墓のカロート(納骨室)の中に水が入ることは、私たち墓石業界の秘密ごとになっているのです。
3.お墓の中に水が入る理由
お墓のカロート(納骨室)の中に水が入る理由はいくつかありますが、そのいずれもが、私たち石材店側の売り手事情によるものです。
間違っても、お施主様が「水が入るお墓をつくってほしい」なんて言うことはありません。
では、いったい、どんな売り手事情があるのでしょうか?
3-1.簡単に納骨できる構造
お墓へお骨を納めるには、墓石の石を動かさなくてはなりません。
そして、石は一般消費者が想像する以上に重いのです。
基本的に、納骨作業は納骨式の当日に石材店のスタッフが一人で行うわけです。
そうなると、できるだけ簡単に納骨できる構造の方が望ましいのです。
また、今の時代のお墓は、ほとんどが「家」としてのお墓のなので、納骨は一回限りではありません。
何十年か先には、新たなお骨を納めることになります。
そのため、強力な接着剤で完全に固定してしまうこともできないわけです。
つまり、カロート(納骨室)の入り口を、簡単に開閉できる構造にしているため、水や虫が侵入するのです。
3-2.墓地での施工上の理由
お墓のカタチは、和型、洋型、デザイン墓石など様々ですが、基本構造は、複数の石を積み重ねてできています。
その一番下の石を「芝台」と呼びます。
墓石の中で最も重い部材(パーツ)です。
芝台だけで、200~300㎏を超えるものも、ごく普通にあります。
芝台は、またの名を「四ツ石(よついし)」とも言います。
それは、4つの石を組み合わせているからです。
芝台を四ツ石にする理由は、墓地での施工上の問題からです。
墓地の立地条件は様々ですが、必ずしもクレーン車が横付けできるような墓地ばかりではありません。
むしろ、そんな墓地は少ないくらいです。
多くは、人一人がなんとか通れるくらいの道を、重い石を運搬しないといけません。
そのような墓地では、部材を4つに分割している「四ツ石の芝台」の方が運びやすいからです。
しかし、4つの石を組み合わせているということは、当然のことですが継ぎ目ができます。
その継ぎ目から水が入り込むのです。
3-3.コストダウンを図るため
芝台を四ツ石にするもう一つの理由は、コスト上の問題です。
四ツ石にせず、ひと塊の一枚石(無垢材)で芝台をつくる方が、継ぎ目から水も入らず、耐久性にも優れているのは確かです。
しかし、運搬上の問題はともかくとしても、石の使用量が増えるため、コストが掛かるのです。
その費用は、当然のことながら、お客様への見積もり金額に影響してきます。
お客様の方から、「水が入ってもいいから安くしてほしい」と言っているわけではないのですが、今の時代、他社との競合を考えると、少しでも安価な金額で見積もりを提示しようという心理が働いてしまうのかもしれません。
以上のような3つの理由から、全国のほとんどの地域の墓石が、カロート(納骨室)の中に水や虫が入ってしまう構造なのです。
4.お墓の水問題が解決されない理由
前項では、お墓の中に水や虫が入る理由についてご説明しましたが、ここまで理由がはっきりしているのに、なぜこれまで改善されなかったのでしょうか?
- 住宅
- クルマ
- 家電製品
私たちの身近な、多くのモノは、時を経て大きく改善されています。
特にお墓は、お家やクルマと並んで高額商品です。
にもかかわらず、百年以上も基本的な構造が変わらない理由は、どこにあるのでしょうか?
それは・・・、
ほとんどの消費者が、その事実を知らないからです。
知らないゆえに、お墓が完成した後に文句を言われることもありません。
何かのきっかけで、お墓の中に水が入ることを知られたとしても、
カロート内に水抜き穴を設けていますので自然に抜けます。
お骨を土に還すためには水分が必要です。
なんて、言い訳にしか聞こえないような回答をするしかないのですが、ほとんどの場合、それで通用してしまうのです。
それならば、
- 簡単に納骨ができる
- 運搬が楽
- コストが安くつく
といった、「これまで通りの構造でいいのでは…」というのが現在の状況です。
5.納骨室に水が入らないお墓の誕生
偉そうに言っている当社も、10年近く前までは、「お墓の中に水が入るのは仕方がないこと」だと思っていました。
事実、お客様に尋ねられたときには、そのように答えていました。
それを大きく変えたのが、「絶対に納骨室の中に水が入らないお墓が欲しい」と強く言われた一人のお客様との出会いです。
お墓の中に水が入ることは、私たちの業界では「仕方がない」ことであっても、消費者の立場からすれば、到底納得できないことだったのです。
そりゃそうですよね。
よく考えてみれば、誰でもわかることです。
自分の大切な家族のお骨が水びたしになっていても平気だ、という人はそういないでしょう。
しかし、私たち墓石業界では「仕方がないこと」で通っています。
これって、考え方に差があり過ぎます。
というよりも、あまりにも身勝手で無神経だったということに、ようやく気付きました。
そして、紆余曲折を経て、特許・実用新案登録の独自構造墓石“納骨室に水が入らないお墓「信頼棺®」”の開発に至ったのです。
大切な人のお骨が、水びたしになっているとしたら、あなたは耐えられますか?
6.まとめ
「納骨式は、雨はイヤ!できるなら、好天の中で執り行いたい」
これは、誰しもが想うことかと思います。
しかし、これから納骨を控えている大切な人のお骨は、もっとひどい所へ納められようとしているのです。
良い石を使った立派なお墓が完成した。
さぞかし、お施主様は大満足でしょう。
でも、肝心かなめの故人の寝室にあたるカロート(納骨室)の中は、水が入ったり、虫が住みついたりするかもしれません。
お墓は、大切な亡き人のお骨を納めて供養するためのものです。
- お施主様も
- ご先祖様も
どちらも満足のいくお墓をつくりたいものですね。
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