「お骨を土に還す」って言うけどホントに還るの?
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。
のじま
宗教や宗旨によっても異なりますが、関西方面では、お骨をお墓に納める際には、骨壺から綿の布で作った袋に移し替えて「土に還す」という納骨方法が一般的です。
「実家のお墓でもそのように納骨をしたし、お寺のご住職からもそのように勧められた」という方もいらっしゃるかと思います。
中には、お墓のカロート(納骨室)内の土の上に、お骨を直にまく場合もあります。
しかし、このような納骨方法は全国的には少なく、多くの地域では骨壺に入ったままの状態で納骨いたします。
関西で、骨壺のまま納骨しないのは、人間誰しもが大地の自然から生まれてきたわけですから、寿命を全うした暁には元の大地である「土」に還すという考え方が根底にあるようです。
でも実際には、お骨は土に還らないのです。
その場にずっとあり続けるという事実がわかってきました。
また、納骨方法に関係なく、カロートの中は信じられないような劣悪な環境であることは、ほとんどの方がご存じないかと思います。
そこで、今回の記事は、お骨が土に還らない理由と、あなたの大切な人のお骨を納めるカロートの中の状態についてお伝えしたいと思います。
目次
1.実は・・、お骨は土に還りません!?
関西の納骨方法は、「お骨は土に還すもの」という考え方のもとに、骨壺から綿の布で作った袋に移し替えて、カロート(納骨室)の中の土の部分に安置するのが一般的です。
いわゆる、土葬の時代のなごりですね。
しかし、火葬で焼骨されたお骨は、そう簡単には土に還りません。
「えっ!?」って思われるかもしれませんが、事実なのです。
では、その理由についてご説明させていただきます。
火葬場の火葬炉の温度は、ダイオキシンなどの有害物質が発生しにくいよう、800度以上にするよう定められています。
規模によって異なりますが、800~1200度という高温で火葬されるわけです。
このような高温で焼骨されたお骨は、表面がセラミック化します。
ちょうど、陶器をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。
こうして焼骨されたお骨は、リン酸カルシウムという主成分で形成されており、分解されにくい性質があります。
おそらく、100年とか200年という単位では土に還りません。
ただし、粉骨にして土中深くに埋めれば、土に還る期間を短くすることができます。
また、土に還る期間はお墓のある土壌の性質によって左右されるようです。
お骨の主成分はカルシウムなので、酸性の土壌の方が分解されやすく、土に還る期間は短くなります。
しかし、お骨を粉骨にして土中に埋めたとしても、数年で完全に土に還るわけではありません。
ましてや、お骨を布袋に入れてカロートの中の土の上に置くという納骨方法ならば、お骨はいつまでも残り、土に還ることはないと考えた方がよいでしょう。
2.お骨が土に還らないのならどうする?
「お骨が土に還らないなんて初めて知った」という方も多いかと思います。
じゃあ、お骨が土に還らないのなら、どうしますか?
布袋に入れて納骨するのを止めて、骨壺のまま納骨されますか?
「いったい、どうすればいいの?」という方のために、2つの考え方をご紹介しましょう。
(1)「お骨は土に還る」とみなす
お骨は土に還らないということがわかったのは比較的近年のことであり、それまではずっと「土に還るもの」と思われてきたわけです。
それならば、実際には土に還らないとしても、「お骨は土に還った」とみなすという考え方です。
私たちの身近なところで例えるならば、赤ちゃんが生まれて100日~120日前後に行う「百日祝い(お食い初め)」のような感じででしょうか・・・
これは、「一生食べ物に困らないように」と子供の健やかな成長を願い、乳歯が生え始めるころに行う伝統行事です。
お食い初めでは、初めて箸を使ってお魚を食べさせます。
でも、実際に赤ちゃんがお箸を使って食べるわけではありません。
「食べたとみなす」ということなのです。
お骨を土に還すという納骨方法も同じく、土に還してあげたいという想いのもとに「土に還ったとみなす」という考え方もできるかと思います。
(2)骨壺の状態で納骨する
関西の方でも、「お骨は土に還らないのなら骨壺のまま納めたい」という方もいるでしょう。
いわゆる、全国的に一般的な納骨方法です。
実は、骨壺のままお墓の中に納骨するという方が、現代社会には合っているかもしれません。
その理由としては、かつてのお墓は、未来永劫にわたりその地にあり続けるという前提のもとに建てられていました。
火葬になる前の土葬のお墓などは、まさしくそうです。
亡きがらを土中に埋葬し、その上にお墓を建てたり、そこから少し離れたところに「祀り墓」を建てたりもしました。
ところが、今の時代、ひとところに50年100年と定住することが難しくなっています。
転勤などの諸事情で、今あるお墓を新しい地に移すということもめずらしくありません。
そんなときに、骨壺に名前を書いたりして、きちんとお骨が保管されていれば、時が経っても、どのお骨が誰のものなのかがわかります。
しかし、納骨袋や、お骨を直に土の上にまいて納骨してしまったら、お墓のカロートの中にお骨が散乱した状態になり、どれが誰のお骨なのか判別できません。
当社でも過去に、「どうせ土に還らないのなら、きちんと骨壺に入れて納骨してあげれば良かった・・」と後悔しておられた事例がありました。
3.知っていますか?お墓の中の状態を・・
お墓のカロート(納骨室)とは、今さらですがお骨を納めるところです。
お墓は、大切な人のお骨を納めて供養するために建てるものです。
モニュメントのように、何かの記念に建てるわけではありません。
そう考えると、お墓のカロートは、亡き大切な人の寝室のようなところですよね。
事実、納骨式の際には「安らかにお眠りください・・」などと願うわけですから、正に寝室なのです。
では、その寝室であるカロートの中が水びたしだったとしたら、どうしますか?
クモやハチが住み着いて、巣を作っていたとしても平気ですか?
でも、実際には、日本全国のほとんどの地域のお墓は、カロートの中に水が入ってしまう構造なのです。
こちらも、嘘だと思われるかもしれませんが、本当のことなのです。
ひどい場合には、カロートの中に水がたまり、お骨がプカプカと浮いていたり、骨壺が水没していたりすることもめずらしくありません。
また、水が入る以外にも、カロートの中は暗くてジメジメしていて外敵にも襲われる心配がないため、虫たちの絶好のすみかなのです。
クモやムカデなどは当たり前。
ときには、ミツバチやスズメバチが巣を作ったりもします。
ただ、これらの事実は、消費者が知らないだけなのです。
お墓参りに行って、お墓を開けてカロートの中を確認する人など、ほとんどいませんので無理もないかと思います。
大切な人のお骨が水びたしになっていたり、お墓の中が虫のすみかになっていたとしても、あなたは耐えられますか?
4.石材店なら誰しもが知っている事実
お墓のカロート(納骨室)の中に水や虫が入ることは、石材店なら誰しもが知っていることです。
ただ、その事実をわざわざお客様に言わないだけのことなのです。
その理由は、これまで、これといった解決方法がなかったからにすぎません。
解決方法がない以上、あえて事実を伝えたところで、どうしようもないからです。
しかし、それが良いことだと思っている石材店はほとんどいません。
それが証拠に、納骨式の前には、お墓を開けてカロートの中をチェックします。
クモの巣を取り除き、水がたまっていたら汲みだし、ひっくり返っている骨壺を元に戻したりもします。
そして、納骨日当日にお施主様や僧侶などがお墓の中を覗いたときには、何事もなかったかのように納骨式を始めるのです。
これって、やはり心のどこかに「この状態ではまずい!」と思っているからなのです。
かつて、当社第一石材もそうでしたから・・・
5.まとめ
今回の記事は、火葬されたお骨は、そう簡単に土に還らないという驚愕の事実についてお話しいたしました。
また、日本全国のほとんどの地域のお墓は、カロート(納骨室)の中に水が入ってしまう構造であることもお伝えいたしました。
もしかしたら、こちらの方がびっくりかもしれませんね。
しかし、かつては、カロートの中に水が入ってしまうのは仕方のないことでしたが、今では、全国的にはごくわずかですが、カロート内に水が入らない構造のお墓づくりを実践している石材店もあります。
お墓は大切な故人が眠る場所と捉えるならば、「お骨を土に還すのか?」「骨壺のまま納骨するのか?」という以前に、まずはカロートの中に水が入るという問題を解決してあげるべきではないでしょうか。
『消費者は知らない!石材店も教えない!驚くべきお墓の秘密とは?』
『お墓への納骨方法!「骨壺」「納骨袋」「直に撒く」どれが正しいの?』
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