国産のようで国産でない墓石ってどんなお墓?
現在では日本市場におけるお墓の大半が中国の石材加工工場でつくられています。
別に中国を含むアジア諸国でモノづくりをすることが悪いことではありません。
お墓だけに限らず、私たちの身のまわりの物の多くもそうしてつくられています。
ただ、問題なのは、国産なのか?中国産なのか?
消費者にとって極めてまぎらわしいお墓が存在するのです。
今回のブログは、そのまぎらわしい「国産のようで国産でない墓石」とは、いったいどんなお墓なのかにつてお伝えいたします。
日本中のほとんどの石材店で、ごく普通に販売されている墓石なので、しっかり覚えておいてくださいね。
1.中国の石材加工工場における“お墓のごまかし加工”
墓石に関しては建築基準法や食品衛生法の様な規定法律や、「JIS規格」や「JAS規格」のような規格がありません。
・・・ということは、墓石の製作に関しては何をしても法的規制はないということです。
それをいいことに、中国の石材加工工場の中には、熱処理・薬品処理・染色といった、さまざまな方法を用いた“お墓のごまかし加工”を日常的に行っている粗悪な工場もあります。
この事実については、中国の石材加工工場に墓石の製作を依頼している、多くの日本の石材商社や卸売業者も知らないはずはありません。
知らないのは、おそらく一般消費者だけでしょう。
けれども、“お墓のごまかし加工”は法にふれないのでどうしようもないのが現実です。
2.国産のようで国産でない墓石?
中国のすべての石材加工工場がごまかし加工を行っているわけではありません。
それでも、消費者側からすればやはり不安は残るものです。
そんな不安な思いをするくらいなら、少々値段が高くなっても「やっぱり国産のお墓にしよう!」と考える人も少なくないはずです。
「たしかにその通りです」
正真正銘の国産のお墓なら安心できるでしょう!
ところが、国産であるようで、完全に国産でないのが、近年日本で数多く出回っている通称「国産墓石」と呼ばれるものなのです。
なんかよく解りにくい話ですね!
その「国産であるようで国産でない墓石?」とはいったいどんなものなんでしょう?
3.中国産の「国産墓石」って何?
まず、「国産」の意味を広辞苑で調べてみると・・・
“「国産」とは”自国で生産・産出すること。また、その産物”
との記述がありました。
そんなことは誰が考えてもごく当たり前のことで、「いまさらブログに何を書くつもり?」と思われる方もいるでしょう。
しかし、この当たり前のことが、そうでないのが今の世の中なのです。
実は、近年日本で販売されている「国産墓石」と称する墓石の多くは、日本で採掘された石を中国に送り、石材商社や卸売業者を通じて、中国の石材加工工場にて完全に製品化されたものを逆輸入した墓石なのです。
「まあ、どんな業界でも表と裏がある訳だから、中にはそんなものもあるでしょう」・・・なんて、一般の消費者の方々からみると悠長に構えられるかもわかりません。
事実、過去には建築物の耐震偽装や食肉偽装、そして食品賞味期限の改ざんなど、さまざまな分野で偽装事件やごまかしが行なわれてきました。
お墓も一部に「中国産の国産墓石」があっても不思議ではありません。
けれども、そんな「国産墓石」を販売してる石材店はごくまれで、「自分自身がお墓を買おうと思っている石材店ではそんなものは扱ってない!」
「まして、自分が買う予定の石材店は、老舗の大手石材店なので絶対にそんな墓石は売ってない!」・・・などなど、他人事と思われる消費者の方も少なくないでしょう。
しかし、現実はそんなあまいものではありません。
現在、「国産墓石」と称して市場で販売さている墓石で、中国の石材加工工場にてつくられているものは、おそらく国産墓石全体の半分以上、いや80%以上が「中国産の国産墓石」かもわかりません。
小売業者への卸売りを専門にしている、とある石材商社の社長いわく、「うちは大島石に関しては100%中国加工!」と明言されるを耳にしたことがあります。
それらが石材店・仏壇店等の墓石小売店を通じて消費者のお墓となるのです。
4.「中国加工の国産墓石」の問題点
「国産墓石」と称して販売されている墓石の問題点は、多くの場合、消費者に対し「中国でつくられたもの」との説明がないことです。
これまでも、ブログで何度もお伝えしてきましたが、別に中国やアジア諸国でモノづくりをすることが悪いことではありません。
ただ、法的に問題はなくても、高額商品だけに流通経路は明らかにすべきでしょう。
中国での石材加工が始まって30年ほど経つので、技術レベルはそこそこ進歩したとしても、香川県の「庵治・牟礼」地方などの極めてレベルの高い石職人の加工技術と比較するとまだまだかなりの開きがあります。
石職人の技術レベルはともかくとして、製作のコストダウンを図るため、根本的に日本の石材加工とは、製作に至るまでの加工工程が異なります。
もし、製品レベルに差がないと業者側が本当に思っているならば、堂々と「中国産国産墓石」と表示して販売できるはずです。
しかし、販売する業者側も、実際のところはそうは思っていないので、消費者の心理状態を巧みにあやつり、「国産の石だから安心ですよ!」なんて、消費者が正真正銘の国産品と錯覚するような説明でお墓を販売している業者も少なくありません。
でも、一般の消費者が「国産墓石」と表示されているのを見たら、ほとんどの方が当然「日本でつくられている墓石」と思いますよね!
この心理を逆手にとり、「国産のようで国産でないお墓」が売られているのです。
4.まとめ
食品でも衣料品でも家電製品でもそうですが、私たちの身のまわりの多くのモノには「made in ○○○」と表示されています。
「国産」と表示されていて、実は外国産なんて高額商品は、私が知る限りではお墓だけです。
でも、現在の日本の法律では、日本の石を中国の石材加工工場で加工された墓石を「国産墓石」と称して販売しても何の問題もないのです。
モラル的にはどうかと思いますが、法的に問題ありません。
ただ、「国内加工」と偽って販売するのは完全にウソになるので詐欺行為になるかもしれません。
国産墓石を購入される多くの方は、ステータスや安心感を求めてのことでしょう。
品質はともかく「とにかく国産」というステータスが理由なら、たとえ中国加工の国産墓石であっても、日本の石でお墓を建てたという事実に変わりありません。
しかし、安心感という理由で国産墓石を選ばれるのなら、値段の安い中国加工の国産墓石に飛びつかない方が賢明です。