水を吸いにくい石を選べば本当に良いお墓になるのでしょうか?
お墓を建てるにあたり、結構多くの方が気にされるのが石の吸水率です。
いわゆる、「水を吸いにくい」かどうかを表す数値です。
石は天然素材のため、人間に毛穴があるように石にも細かい穴や隙間が数多くあります。
これらの穴や隙間の程度により、
- 水を吸いやすい
- 水を吸いにくい
- 水を吸うけど抜けやすい
- 水を吸って抜けにくい
など、水の吸い方にも差があります。
こんにちは。(一社)日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」の能島孝志です。
兵庫県神戸市で、“カロート(納骨室)に水が入らない特許構造墓石”『信頼棺®』を販売する、(株)第一石材の代表を務めさせていただいております。
のじま
では、実際に「水」はお墓にどのような影響を与えるのでしょうか?
また、「水を吸いにくい石」を選びさえすれば、理想のお墓になるのでしょうか?
今回の記事では、石と水との関係はもちろんのこと、お墓と水の関係について解説いたします。
もしかしたら、「水を吸いやすい」「吸いにくい」よりもっと重要な問題があるのかも分かりませんよ!
目次
1.そもそも石の吸水率とは?
インターネットでお墓に使用する石を検索すると、石種ごとに吸水率の数値が表記されているのをよく見かけますよね。
いわゆる、“水をどれだけ吸うか”の数値です。
この数値が低いほど水を吸いにくいのです。
たとえば、国産最高級墓石材の「庵治石細目」は“0.15%”、関西で人気の「大島石」は“0.154%”、水を吸いにくいことで定評のある「天山石」は“0.059%”という数値です。
外国産の石材では、大島石似で人気の高い、中国・黒龍江省産の黒龍石系の「G1704」は“0.073%”、極めて低い吸水率で有名なインド産の「アーバングレー」はなんと“0.056%”という数値です。
逆に、中国・福建省産の安価な石である「G614」の吸水率は“0.259%”とそこそこ高い数値です。
では、石の吸水率はいったいどのようにして測るのでしょうか?
吸水率を測定するには、石材を10㎝×10㎝×20㎝×の直方体に切った試験体を3個用意し、工業試験場等に持ち込んで測定してもらいます。(有料)
それらの石の乾燥状態の重量と48時間水に浸けた後の重量差を測り、試験体3個の平均値を採用いたします。
ただ、石は自然界の産物だけに、二つとして同じものはありません。
それだけに、3個の試験体で測定して割り出された吸水率のデータと、実際の墓石の吸水率が同じというわけではありません。
むしろ、多少は違うと考えておいた方が良いでしょう。
2.吸水率の高い石がお墓に及ぼす影響
一般的にお墓は雨風にさらされる屋外に建てられます。
それゆえ、石の吸水率と墓石の耐久性とは少なからず関係してきます。
もともと、石は水を吸う性質があります。
全く水を吸わない石なんてありません。
地中深くまで井戸を掘ると、きれいな地下水が湧き出てくるのは、雨水や雪解け水が何層にも重なった岩盤を気の遠くなる年月を経て通る際に濾過(ろか)機能を果たし、地下水となって生まれ変わりるからです。
兵庫県の神戸市から西宮市にかけての旧海岸地帯の井戸から湧き出る良質の水は「宮水」と呼ばれ、酒造用水として古くから灘の酒造りに使用されています。
この宮水の源流は、今では墓石材の総称として使われている“みかげ石”の語源となった「本御影石」の故郷である六甲山系なのです。
石が水を吸って(濾過して)できた水なのです。
そして、山から切り出された石が墓石となってからも水を吸うことには変わりありません。
みかげ石(花崗岩)は、さまざまな鉱物が複雑なパズルのように組み合わさって形成されていて、それぞれの鉱物との間には僅かな隙間があります。
ちょうど、ハンバーグのような感じを想像してください。
この隙間の大きさによって吸水性に差が出ますが、ここに水がしみ込んでさまざまなイタズラをします。
石の吸水率は「%」で表記され、低い石で0.1以下、高い石では0.4以上とさまざまですが、数値の低い石ほど耐久性に優れていると言われがちですが、これも絶対ではありません。
吸水率は少々高くとも、水が抜けやすい石もあるからです。
石にしみ込んだ水は、冬場は凍結して氷となり体積は約9%膨張します。
しみ込んだ水が1割近く膨らむことにより繰り返し組織が破壊され、ひび割れや風化を早める要因にもなります。
その他にも、石に含まれている鉄などの成分が水と反応して、変色や変質、光沢の低下などの原因にもつながります。
日本は一年を通じて寒暖の差が大きく、夏場は雨が多く湿度も非常に高くなりますので、墓石に使用する石は硬くて吸水率が低い、もしくは、水を吸っても抜けやすい石を選んでおく方が経年劣化につながりにくいでしょう。
また、建てる地域に合った石種をお選びいただくことも重要です。
3.消費者が「水を吸いやすい石」を嫌う最大の理由
多くの消費者が耐久性等を考えて水の吸いやすい石を好まないわけではありません。
ほとんどの場合は見た目です。
水を吸った部分が黒くなり、水シミができるのを嫌うのです。
たしかに、見た目が良いとは言い難いのも事実です。
でも、吸水率の低い石を選んだからといって、50年後、100年後もピカピカというわけではありません。
逆に、少々吸水率の高い石を選んだからといって、美観上の差は出ますが、5年、10年でボロボロになって朽ち果てるなんてこともありません。
また、人間も年を重ねるごとに見た目が変わっていくのと同じように、お墓も年月を経て苔が生えた「わび・さび」として捉えた美しさも、趣があって良いのではないでしょうか。
4.水を吸いにくい石を選んでも、お墓の中は水浸しかも・・・?
これまで、水が石の耐久性と見た目にどのように関係してくるかを説明してきましたが、いずれも「墓石」としての考え方です。
「お墓」にとってどうかではありません。
「墓石」と「お墓」がどう違うのか?
なんか分かりにくいですよね。
「墓石」は石の塊。つまり製品です。
当社の展示場にいくつも並んでいるのも墓石です。
もう、お墓と墓石の違いは分かりましたよね!
そうです。
お墓には、大切な家族のお骨が納められているのです。
単なる石の塊ではないのです。
その大切な家族のお骨を納める場所であるカロート(納骨室)が水びたしだったらどうしますか?
あなたは耐えられますか?
「そんなことはない!」「そんな話は聞いたことがない!」と言われるかもしれません。
しかし、残念ながら、日本全国のほとんどの地域のお墓は水が入ってしまう構造なのです。
国産のどんな良い石を選んでもです。
極めて低い吸水率の石を選んでもです。
泥水が溜まっていたり、クモやハチが巣を作っているような中に大切な家族のお骨が納められているのです。
数十年先の劣化の違いや水シミで見た目が悪いのも気になるでしょうが、お墓の主役である仏様やご先祖様のことも考えてあげるべきではないでしょうか。
5.まとめ
人はどうしても見た目が気になるのは仕方ありません。
お墓は長く使うものだけに、遠い将来を考えて、少しでも見た目が変わりにくい石、風化・劣化しにくい石を選ぼうとするのは、ごく当然のことでしょう。
しかし、カロート(納骨室)の中に水が入ることは、ほとんど知られていません。
…というよりも、私たちの業界があえて知らさなかったのです。
それは、これまで解決法がなかったからです。
でも、今は違います。
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『墓石に吸水率の低い石を選んでもお墓の中に水が入るのをご存知ですか?』
『良い石でお墓を建てるには石に詳しい石材店を選ぶことが重要な理由』
『インド産墓石材アーバングレーの特徴・品質・価格と選び方の注意点!』
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