自社で墓石加工したらいいお墓ができるのか!?それホント?

消費者の皆様が石材店・墓石店に注文したお墓は、いったいどこでつくられているのでしょうか?
このことを熟知している消費者は意外と少ないのです。
こんにちは。(一社)日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」資格の能島孝志です。
兵庫県神戸市で、“カロート(納骨室)に水が入らない特許構造墓石”『信頼棺®』を販売する、(株)第一石材の代表を務めさせていただいております。
能島
なんとなく「最近のお墓は中国でつくられているのでしょ」程度に知っている方は数多くいらっしゃるでしょうが、詳しく知っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
また、「お墓はすべての石材店が自社で加工してつくっている」と思っている人が世の中には結構多いのです。
たしかに、今でも原石を仕入れ、自社ですべてを加工している石材店もありますが、全体的にはごくわずかと言っていいでしょう。
なかには、「うちは自社加工だから安心だが、○○石材はよそでつくらせているのでダメだ!」なんて言っている石材店もあるようです。
そこで、今回の記事は、自社加工ならすべていいお墓ができるのかどうか?についてお伝えしたいと思います。
目次
1.お墓・墓石はどこでつくられているのか?
お墓・墓石は大きく分けて次の3つ場所でつくられています。
中には、彫刻家などが手掛ける墓石もありますが、ほんのごくわずかです。
1-1.自社加工の墓石
今回の記事のテーマである「自社加工」です。
いわゆる、皆様がお墓を購入される石材店が自ら加工してつくるお墓です。
1-2.中国加工の墓石
近年では、この中国加工の墓石が大半を占めています。
なんと、日本国内に流通している墓石の約8割は中国加工の墓石と言われています。
中国産の石だけにとどまらず、インドの石やヨーロッパの石など、世界中の石が中国に送られ、墓石として完全に製品化され世界各国に輸出されています。
そして、日本の石も中国に送られ製品化された、中国加工の「国産墓石」と称する墓石も大量に市場に流通しています。
これらは、石材商社を通じて日本に輸入されていますので、消費者はもちろんのこと、石材店すらもつくり手がわからないところが不安要素です。
また、数多くある中国の石材加工工場のどこでつくられるかによって品質にも差が出てきます。
1-3.産地加工の墓石
「産地加工」の墓石とは、石材の産地で加工される墓石のことです。
つまり、墓石に使われる、いわゆる“みかげ石”と呼ばれる石が産出される地域にある、墓石加工専門の工場でつくられているのです。
それらの中でも、
- 香川県の「庵治・牟礼(あじ・むれ)」
- 愛知県の「岡崎」
- 茨城県の「真壁(まかべ)」
の三カ所は、日本三大石材加工地として有名です。
ちなみに、私ども第一石材がご提供する国産墓石は、香川県の「庵治・牟礼」の加工工場に依頼しております。
ただ、産地加工の「庵治・牟礼」と言っても、200軒近くの石材加工に関連する工場がありますので、その中でも技術力は大きく違ってきます。
いいお墓ができるかどうかは、墓石を購入する石材店が、どこの産地加工業者とつながりがあるかで決まってくるのです。
2.「自社加工」の墓石ならいいお墓ができるのか?
今からおおよそ50~60年前の1950~1960年代の頃までは、お墓は石材店が自らつくる「自社加工」がごく当たり前の時代でした。
石を切り出す採石業者や仲買人から材料(原石)を仕入れ、自社の工場で石を切り、磨いて墓石に仕上げていくのです。
近年では、この自社加工でお墓をつくっている石材店はめっきり少なくなり、都市部ではほとんど見られなくなりましたが、地方では今でも自社加工を行っている石材店がそこそこあります。
石材店のやチラシや新聞広告、ホームページなどに、「自社加工だから安心!」と掲載されているのを目にしますが、「自社加工=良い墓石」と一概に言い切れるものではありません。
なぜならば、その石材店の加工技術が下手ならば、仮に自社加工であってもいい製品になるはずがないからです。
これは、お墓だけに限らず食べ物でも同じことが言えます。
- 自家製麺のラーメンなら、すべて美味しいでしょうか?
- すし職人が握る板前寿司なら、すべて美味しいでしょうか?
- お肉屋さんのコロッケなら、どれも美味しいでしょうか?
決してそんなことはないはずです!
でも、つくっている本人は自分のところの商品を「まずい」と思ってつくっている人は決していないでしょう。
お墓も同じで、必ずしも「自社加工」=「いい墓石」ではありません。
料理は食べてまずけりゃ二度と行かなければ済みますが、お墓は、そうそう簡単に買い替えできる商品ではないのです。
3.「自社加工」と「産地加工」の大きな違い
もちろん、優れた技術力を持ち合わせ、すべての工程を自社で行い、素晴らしい墓石をつくっている自社加工の石材店もあります。
逆に、ひどい話ですが、自社加工を売り文句に詐欺まがいのトークで、消費者の気を引く悪徳石材店も存在します。
古くから長く商売をやっている石材店の多くには、その昔、自社でお墓をつくっていた頃の機械が今も残っています。
現在では、全く、もしくは、ほとんど稼働していないか、手直し程度に使うだけの加工機械をお客様に見せて、「うちは原石を仕入れてすべてを自社で加工している」、なんて噓を言ってお客様の気を引く石材店も実際にあるのです。
一般消費者からすれば、地元の老舗の石材店から、「うちは中国の石もすべて自社加工!」と言われてしまうと、「やっぱり信頼できる石材店」と思われても仕方ありません。
でも、ごく稀ですが、中国やインドの石を原石で仕入れ、すべてを自社加工で製作している石材店もありますので見極めが必要です。
そして、自社加工と産地加工の最も大きな違いは、自社加工の石材店の販売先は一般顧客であるのに対し、産地加工の加工業者は大半が卸売りのため、販売先は石材店になります。
つまり、自社加工の販売先は「お墓の素人」であるのに対し、産地加工の場合は「お墓のプロ」に墓石製品を卸売りすることになるのです。
ちょうど、スーパーの魚売り場と卸売鮮魚市場の魚屋さんのようなものです。
プロがプロに売るためには、卓越した技術力を誇れる墓石を提供できるか?もしくは、よほど仕入れ値が安いか?のいずれかでしょう。
いずれにしても、それがどこかをあなたは見つけられますか?
そう考えると、やはり行きつくところは「石材店選び」ということになるのです。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
「どこでつくられているか?」を知っているか否かで、満足できるお墓になるかどうかに大きく影響してきます。
それに加え、良いお墓かそうでないお墓かは、石の質や加工技術だけで語れるものではありません。
- 優れた構造で設計されているか
- 地震に対応した施工をしているか
- デザイン性に優れているか
…など、いいお墓であるための数多くの条件があります。
お施主様と石材店とのこれからの長い付き合いが始まるので、「お墓は建ててからが始まり」なんて言葉をよく耳にします。
しかし、それは、「満足のいくお墓」であってこその話です。
そうでなければ、「契約したら終わり」「建てたら終わり」なのです。
満足のいくお墓をつくってくれなかった石材店と、どう今後の「長い付き合い」ができるのでしょうか?
そうならないためには、先ずは消費者の方々が、お墓を購入する前に、多少なりとも知識を得ておくことです。
もう一度言います。
自社加工は必ずしも良いお墓であるという判断材料になりません。
私ども第一石材では、お墓に関するさまざまな疑問にお答えさせていただいております。
相談は「1級お墓ディレクター」の私、能島孝志が対応させていただいております。
もちろん、相談は一切無料です。
当社では、
- しつこい営業は絶対にいたしません。
- 売り込み電話は絶対にいたしません。
- 自宅への押しかけ営業は絶対にいたしません。
…ので、安心してお問い合わせください。