庵治石墓石は石のランクや加工工場で品質や価格はピンからキリまで!
こんにちは。兵庫県神戸市兵庫区にある株式会社第一石材の能島です。
(一社)日本石材産業協会認定の「1級お墓ディレクター」です。
のじま
世界で最も高価な墓石材として名高いのが、国産高級墓石材の「庵治石(あじいし)」です。
じゃあ、庵治石さえ選んでおけば、本当に品質の良い墓石になるのでしょうか?
なにしろ、高価なだけに、そこは気になるところかと思います。
実は、ひと口に「庵治石」と言っても、採石される原石や加工する工場によって、品質も価格もピンからキリまであります。
「庵治石でお墓を建てたい!」という方には、
- とにかく、庵治石と名の付くものなら何でもいい
- せっかく庵治石を選ぶのだから最高のものでお墓をつくりたい
という、二通りの考え方があるかと思います。
そこで、今回の記事では、庵治石でつくる墓石の「何がピン」で、「何がキリ」なのかを知っていただくことにいたしましょう。
目次
1.庵治石が産出される採石丁場
石が採れる採石場のことを「丁場(ちょうば)」と言います。
世界に誇る、日本一の銘石である庵治石の産地は、香川県高松市の庵治町と牟礼(むれ)町との間にある「五剣山」付近に採石丁場が広がっています。
その採石丁場は、大きく分けると、
- 大丁場
- 野山丁場
- 庵治山(庵治裏)丁場
の、3つのエリアに分かれ、廃業や休業中の業者も含め30カ所ほどの事業者が庵治石を採石しています。
それぞれのエリアから採石される庵治石の品質は異なりますが、中でも、最高級の庵治石が産出されると言われるのが「大丁場」です。
しかし、石は自然のものだけに、大丁場で採石される庵治石のすべてが良いとは限りません。
また、同じ丁場であっても、採石される時期や場所によっても、石目や色目が大きく異なります。
それだけに、最高級の庵治石でお墓を建てたいとお考えの方は、「どこの採石丁場」で「どんな庵治石が採れているのか」という最新情報をきちんと把握し、正確な情報を伝えてくれる石材店を選ぶことが先決です。
そして、もっと大切なのは、同じ石であっても、加工を手掛ける工場や石職人の技術レベルによって、墓石の出来栄えに大きな違いが出るのも庵治石加工の難しさの所以です。
これは、庵治石だけに限らず、料理でも同じことが言えます。
たとえ新鮮な高級素材を使っても、美味しい料理になるかならないかは、料理人の腕次第ということです。
2.庵治石の特徴と価格が高い理由
「庵治石」と言っても、1種類だけではありません。
石目や色目の違いから、3種類に大別されます。
写真左から、
- 庵治石細目(こまめ)
- 庵治石中細目(ちゅうこまめ)
- 庵治石中目(ちゅうめ)
その中でも、「中細目」の流通量は少なく、主に「細目」と「中目」を中心に、墓石などの製品がつくられています。
そして、庵治石が最高級の墓石材と言われる理由は、何と言っても優れた石質と見た目の美しさの両方が兼ね備わっているという点です。
まさに「花も実もある」墓石材と言ってもいいでしょう。
優れた石質については、細目・中目・中細目の区別なく、いずれも極めて硬質であるのに加え、水を含みにくい性質であることです。
それゆえ、磨き上げた艶持ちもよく、年月を経ても経年劣化が少なく耐久性にも優れています。
見た目の美しさについての特筆すべき点は、数多くある墓石材の中でも、庵治石だけに現れる「班(ふ)」が浮くという現象です。
これは、石の表面に湿り気と潤いを与えたような、独特のまだら模様が現れ、まるで二重の絣模様のような装いを感じさせます。
しかし、この「班(ふ)」が浮くという現象は、すべての庵治石に現れるものではなく、庵治石細目を中心とするごくわずかの庵治石だけに限られるのです。
中には、庵治石中目であっても素晴らしい「班」が見られるものもありますが、こちらもほんのわずかです。
価格についても、これら3種の庵治石の中でも、最も高価なのが「庵治石細目」です。
その一番の理由は、歩留まりの悪さです。
庵治石が採石される岩盤は全体的にキズが多いため、採石された石からキズを取り除いていくと、墓石として使える部分は全体の採掘量のわずが3~5%しかありません。
さらに、見事な「班」が浮くものとなると、さらにその三分の一程度しかないのです。
つまり、庵治石細目全体量の1~2%しかないということです。
これが、庵治石細目が世界一価格の高い墓石材である理由でもあります。
庵治石中目は細目と比べると少々廉価ですが、それでも高級品となると、同じく国産銘石である愛媛県産の「大島石特級」と同クラスですから高級国産墓石であることに変わりありません。
3.庵治石は極めて加工の難しい石である
庵治石はキズが多い石であることは、前の項でお話させていただきました。
それゆえ、キズを取り除きながら墓石として使用できる部分を確保しなければならないため、大きな塊を確保しにくいのです。
石は天然素材のため、同じ採石丁場から切り出したものであっても、ブロック(塊)が違うと石目や色目が違ってきます。
そのため、一つの墓石をつくり上げるには、かなりの石の量が必要となります。
理想は、同じ塊から採った石で墓石をつくることなのですが、庵治石ではほぼ不可能です。
つまり、墓石の上から下まで、すべて異なる塊から取った石でつくるしか仕方がないのです。
そうなると、美しい墓石に仕上げるには、石目や色目をきちんと合わせながらつくっていく必要があります。
こちらの石でダメならまた次の石。
この繰り返しです。
気の遠くなる作業ですね。
これも、庵治石の墓石の価格が高い理由の一つなのです。
そして、これらを完璧に仕上げることができる加工業者は、庵治石の産地である「庵治・牟礼」に集まる200軒近い石材加工関連工場の中でもそう多くはありません。
本当に良い最高級の庵治石でお墓を建てたいと考えているのなら、「どの庵治石をどこの加工工場でつくるのか」も重要となります。
4.庵治石ならすべて安心なのか?
「なんだかんだ言っても国内加工。それも、“庵治・牟礼”の産地加工なら、どこでつくられた庵治石の墓石であっても安心」なんて、もし思っているのならちょっと心配です。
「とにかく、庵治石と名の付くものなら何でもいい」という考えならば別ですが、「少々予算をアップしても良いものが欲しい」と考えるのならばかなり危険です。
その理由としては、もちろん使用する庵治石の質にもよりますが、やはり加工工場の技術の違いが大きなウエイトを占めます。
つまり、加工工場の体質と考え方によっても品質に大きく影響を及ぼすのです。
たとえば、
- 少々のキズならそのまま使う→ひび割れの原因になる
- ナデ(帯状の筋)をかくす→後々出てくる
- 人工的に「班」を付ける→専門の職人がいます
実際に、このような庵治石の墓石も流通しているのです。
当然、価格は安いです。
でも、安いといっても、一応は庵治石ですから、それなりの値段はしますが・・・
中国加工ならばいざ知らず、日本でもこのようなことが行われているのです。
「庵治石ならば安心」なんてことはないのですよ!
5.まとめ
さあ、いかがでしたでしょうか。
最後の方は、ちょっと怖い話でしたね。
でも、事実なんです。
庵治石は通常の石と違って、原石の流通ルートもしっかりと決まっています。
特に、大丁場の石に関しては、どこの加工業者でもが取り扱うことはできません。
どこの丁場の石がどこの加工業者に渡され、出来上がった墓石は、どこの石材商社もしくはどこの石材店に卸されるか、といったトレーサビリティーが確立されているのです。
もし、あなたが本当に良い庵治石の墓石を望まれるのならば、庵治石に精通し、最高級の庵治石墓石の入手ルートを持っている石材店に依頼することです。
つまり、「石材店選び」がすべてということになります。
『世界一高価な最高級墓石材!庵治石の種類・特徴・価格を徹底解説』
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『「母の遺骨を大切にしたい!」お墓は納骨室に水が入らないが絶対条件【お客様の声・口コミ】』
【実録映像】第一石材のご紹介とお客様の声(00:04:40)
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