お墓・墓石のデザインでトラブルになる原因と未然に防ぐ方法とは

かつては珍しかった「デザイン墓石」も今や完全に市民権を得て、墓地や霊園によっては和形の墓石より多いところもあるくらいです。
そんなデザイン墓石ですが、意外とトラブルが多いのです。
石材店が勝手に決めた形のお墓ではなく、自分たちの要求を取り入れてもらってつくったはずなのに、どうしてなのでしょうか?
こんにちは。(一社)日本石材産業協会認定「1級お墓ディレクター」資格の能島孝志です。
兵庫県神戸市で、“カロート(納骨室)に水が入らない特許構造墓石”『信頼棺®』を販売する、(株)第一石材の代表を務めさせていただいております。
能島
ありきたりの形のお墓ではなく、「こんな感じに!」ってお願いしてつくってもらっただけにお客様もショックでしょうね。
でも、もしかしたら石材店も「こんなはずでは・・・」と、頭を抱えているかもしれません。
今回の記事は、お墓の形やデザインでトラブルになる原因と、そうならないための方法についてお伝えいたします。
目次
1.お墓・墓石のデザインはいったい誰がするの?
服飾やクルマ、建築物など、私たちの身の回りにある多くのモノのデザインは、ほとんどの場合、その分野のプロが行っているのが世間一般的な常識です。
しかし、お墓の場合は全く異なり、大半のデザイン墓石は、デザイナーと全く関係のない人たちが考えたものなのです。
では、いったい誰がデザイン墓石の設計に携わっているのでしょうか?
比較的多いのが、担当する営業マンや女性スタッフがデザインを考えるというケースです。
別に、この行為自体を否定しているわけではありませんが、プロのデザイナーではない人たちが考えるわけですので、全体のバランスを考え、洗練されたデザインのお墓に仕上げるのはかなり難しいでしょう。
このあたりが、「イメージと違う」といったトラブルに繋がる一因になっているのかもしれませんね。
2.お客様も石材店もデザインの素人である
消費者からすれば、どこの石材店でもデザイン墓石をつくることができると思っています。
だから、墓地や霊園の近くに何軒かある石材店に飛び込み、安易に依頼してしまうのです。
でも、実際は違います。
ひと口に「石材店」と言っても、それぞれ得意のジャンルがあります。
レストランにも、「和食」「洋食」「中華料理」などがあるのと同じです。
しかし、現実問題として、近年のようにお墓需要が少なくなっている状況下で、石材店としてもせっかくの注文を断ることができず引き受けてしまうのです。
そして、悪戦苦闘をしながら、なんとかデザイン墓石の製作を試みたるですが、お客様の想っていたものと違うという結果になってしまうこともあるのです。
これは、2015年に一般社団法人日本石材産業協会が国民生活センターに対して行った「墓地、墓石・石材に関するクレームアンケート」の結果を集計したものです。
「材質・デザイン・サイズが違う」が全体の10%を占めています。
具体的には、
- 注文した墓石とできあがった墓石が違う。
- 石の産地の説明に誤りがあった。
- 材質、デザインのイメージが違う。
- できあがりの寸法が注文と異なる。
- パンフレットを見て工事依頼をしたのに、仕上がりはパンフレットの仕様と大きく違い、工事もずさん。
結局は、「想っていたお墓と違う」ということなのです。
たしかに、大規模霊園内を見渡してみると、全体のバランスが悪く、単にド派手なだけのものや、和型墓石のパーツと混在しているものなど、それを「デザイン墓石」と呼ぶには、あまりにもかけ離れているものを時々見かけることがあります。
つまり、お客様も石材店もデザインのプロではないということが招いた結果と言えるでしょう。
少々乱暴な表現ですが、どちらもが「素人」であるということです。
3.石材商社やデザイナーズブランド提供のデザイン墓石
一方、自社ではデザイン墓石の設計等には直接関わらず、石材商社が扱う「オリジナルデザイン墓石」を仕入れている石材店もあります。
石材商社の中にも、デザインセンスに優れたプロのデザイナーを使い、デザイン墓石を専門に取り扱い石材店に卸売りをしているところもあります。
デザインの経験がない営業マンや社内スタッフが考案したデザイン墓石よりもはるかに優れたデザインです。
こういった、石材商社が取り扱うデザイン墓石のラインナップの中から、お客様の好みに合ったものを提供している石材店を選ぶ方が、価格は少々高くなるかもわかりませんがデザイン性に優れた墓石を購入できます。
ただ、墓石本体はともかくとして、問題なのが外柵です。
それは、墓地の形状や広さがそれぞれ異なるからです。
これを解決するにはリデザイン(再設計)が必要になりますが、結構難しく、かなりのデザインセンスが要求されます。
それが出来ないがために、和形の墓石と同じ形の外柵の上にデザイン墓石を設置するしかなくなるなるのです。
当然、全体のバランスが悪くなります。
言うなれば、紋付き袴の上にジャケットとネクタイを合わすようなものです。
これでは、いくら和洋折衷が流行っていると言っても、ちょっと極端でしょう・・・
リデザインが必要なのは、石材商社提供のデザイン墓石に限らず、近年静かなブームとなっている「デザイナーズブランド墓石」も同様です。
デザイナーズブランド墓石とは、プロのデザイナーが徹底的にデザイン性を追求して考案した墓石を、石材店にライセンス契約でデザインのみを提供するシステムです。
代表的なものでは、「casa memoria/カーサメモリア」や「ITSUKI」などがあります。
さすがに、プロが手掛けたものだけあって、モダンで洗練されたイメージデザインに仕上がっておりますが、実際に美しい墓石に仕上げるにはリデザイン次第と言えるでしょう。
4.プロがデザインした墓石が極めて少ない理由
ここまで読んでいただくと、墓石のデザインというのは他の商品のデザインと違って、プロがデザインしたものが極めて少ないことをおわかりいただけたと思います。
その理由は、先ずはコストの問題です。
プロのデザイナーに設計を依頼するとなれば、当然デザイン料が必要となってきますが、自社のスタッフで墓石のデザインをすればコストを抑えることができます。
なぜ、そこまでしないといけないのかというと、墓石のデザインは通常デザイン料がもらえないのです。
建築やあらゆる商業デザインは有料です。
しかし、墓石に関してはなぜか無料というのが業界内の慣例なのです。
それゆえ、デザインにコストを掛けることができないのです。
もう一つの理由は、デザイン墓石を依頼される消費者のほとんどが一般の人です。
つまり、デザインに関しては素人で、デザインの分野に精通している人ではないということも理由に挙げられるでしょう。
だから、ある程度のものであれば、商品として通用するという考え方なのです。
5.デザイン墓石で失敗しないために
デザイン墓石で失敗しないためには、その分野に精通している石材店に依頼することが絶対条件です。
これは「絶対」です。
デザインに関して素人であるお客様はいろんな要求を投げかけてきます。
- 墓石は○○な感じ
- 花立は△△な感じ
- 外柵は□□な感じ
対して、デザインに精通していない石材店側も「わかりました」と二つ返事でお客様の要求通り進めていきます。
ところが、いざお墓が完成してみると、「想像していたものと違う」「イメージが違う」となるわけです。
石材店側からすると、「お客様の言う通りにつくったまで」ということになるのですが・・・
気を悪くされるかもしれませんが、怒らないで聞いてください。
私から言わせると、「どっちもどっち」です。
いくらお客様が「こうして欲しい」と言われても、あきらかにそれをすることでブサイクになるのならば、きっぱりと否定してあげるべきです。
これまでに、「墓石大賞」(霊園ガイド主催)を5度受賞した当社の経験からすると、お客様の要求どおりにしてカッコよくなることは、ごく稀です。
ほとんどが逆ですね。
その場では論争に近い状態になることもありますが、お墓が完成したときには、「能島さんの言う通りにして良かった」と言っていただけます。
そんな理由からか、当社は全国各地からコンスタントにデザイン墓石のご依頼をいただいております。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。
デザイン墓石でトラブルになる原因と未然に防ぐ方法についてご理解いただけましたでしょうか。
お墓は、お家と同様に一生に一度あるかないかの大きな買い物です。
そして、頻繁に買い替えたりするようなものではなく、とても高価な商品です。
デザイン墓石は品質とセンスの両方が要求されます。
それゆえ、デザイン墓石に精通している石材店に依頼することが「絶対条件」となるのです。
オリジナルデザインの墓石を取り扱う石材店としては、単に「商売になる」といった安易な考え方で取り組むのではなく、消費者の心の中にある漠然とした要求イメージをきちんと聞き取り、それを、いかにバランスよく洗練されたデザインとしてカタチに表し、お墓としてつくり上げていくかを考える必要があります。
それができないのなら、デザイン墓石の仕事を引き受ける資格はないと思います。
私ども第一石材では、お墓のデザインに関するさまざまなご相談にお答えさせていただいております。
相談は「1級お墓ディレクター」の私、能島孝志が対応させていただいております。
もちろん、相談は一切無料です。
当社では、
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