お墓・墓石に使用する石の選び方「基本のキ」

お墓を建てる際に多くの方が気になるのが、墓石に使用する石ではないでしょうか？

 

でも、結局は「どの石が良いのかよくわからないので石材店にお任せ」というケースも少なくありません。

 

たしかに、一般消費者が石の善し悪しを見極めるのは難しいことでしょう。

 

しかし、お墓は一生に一度建てるかどうかの大きな買い物です。

そして、買い替えのきく商品ではありません。

 

• クルマを買うときに、ディーラーの営業マンにお任せしますか？
• 家を買うときに、不動産会社にすべてお任せしますか？

 

きっと、しないと思います。

 

お墓も同じです。

長い年月に渡り、代々受け継いでいくものだけに、あなたやご家族の好みや考えを取り入れて選ぶべきです。

 

そこで、今回の記事は、お墓・墓石に使用する石の基本的な選び方について解説していきます。

 

1.お墓に使う石材の種類について

「石を選ぶ」とひとくちに言っても、お墓・墓石に使用する石の種類は100種類以上に及びます。

 

その中から、一般消費者がスーパーで肉や魚などの食品を選ぶように、どの石が良いのかを見て選ぶことは極めて難しい作業でしょう。

 

日本ではその昔より、お墓を建てる地域の気候や風土に合った石が使用されてきました。

 

しかし現在では、国産の石だけではなく、中国産やインド産を中心とする外国産の石材を使用した墓石が中国の石材加工工場でつくられ、大量に輸入されています。

 

お墓のカタチには、あまりこだわりがなくても、石の質や色にはこだわりたいという方も少なくありません。

また、墓石として使用する石材に特に決まりはありません。

 

墓石として多く使用されている通称「みかげ石」と呼ばれる花崗岩や安山岩などは、すべてが同様の性質ではありません。

硬くて水を含みにくく、研磨によるツヤ持ちが良い石もあれば、耐久性に乏しい石もあり、その性質はそれぞれの石ごとに様々です。

 

しかし、例外を除いて墓石は屋外に建立され、強い日差しや風雨にさらされているわけですので、耐久性に優れたものをお選びいただくことをお勧めいたします。

見た目の色の好みだけで選ぶのは、お勧めできません。

 

お墓に使用するのに適している石材は、硬くて吸水率が低く、磨くことによって光沢がよく出るものが一般的には良いとされています。

 

ただ、吸水率は少々高くとも、水を吐き出しやすい性質の石もありますので、数値だけでは判断できない部分もあります。

 

 

2.カラフルな色の石材を使用した墓石

お墓・墓石に使用する石には、様々な色のものがあり、一般的によく目にする、「白系みかげ石」「青系みかげ石」「黒系みかげ石」の他に、赤系・茶系・緑系などのカラフルな色目の石材もあります。

 

近年では、「オリジナルデザイン墓石」の台頭とともに、ピンク・赤・茶など、個性的な石材を使ったお墓もかなり増えてきました。

墓石の色に、自分や故人の好みを反映させることで、より一層の深い想いをお墓に託すことができるでしょう。

 

また、単一の石材だけではなくて、異なる色の石を組み合わせて、色合いの美しさを表現した、オリジナルデザインのお墓もあります。

黒とグレー、赤とピンク、茶と黒など、その組み合わせは多様です。

 

また、同じ石でも、磨き方や加工の方法によって、違ったトーンを表現することもできます。

黒・赤・茶・緑などの石は磨き上げると濃い色に、粗くたたく加工を施すと淡い色に仕上がります。

加工や仕上げの工夫で、色の濃淡の差を出すことによって、墓石にコントラストを表現することができるのです。

 

ただし、ど派手にすれば良いというものではありません。

 

お墓は長く使い続けるものだけに、年月を経ても色あせないデザインにしておくことをお勧めいたします。

 

ここは、デザイン墓石を手掛ける石材店のデザインセンス次第ということになります。

 

 

3.独特の石目模様を持つ石

石には独特の石目模様を持つものもあります。

 

それは、世界一高級な墓石材として有名な「庵治石細目（あじいしこまめ）」です。

 

香川県高松市庵治町で産出される庵治石は、日本を代表する墓石材です。

その中でも、最も石目の細かい「庵治石細目」は、世界で最も高級な墓石材として君臨しています。

 

庵治石細目の最高級品は、「斑（ふ）」と呼ばれる、細かな石の結晶が織りなす二重のかすり模様が現れ、その独特の風合いは、他のみかげ石には得られない気品が感じられます。

 

「お墓の石なんて、どれも同じようにしか見えない」と、一般消費者から言われる中で、庵治石細目だけは誰が見ても一目で見分けがつくほどの特徴を持ち合わせているのです。

 

また、かつては主に建築用として使用されていた外国産石材なども、最近では、墓石材としても使用されることも増えており、縞模様の柄が入った石や、貝殻化石を含み独特の輝きを持つ石など、華やかな色柄の石材を使用したお墓も数多く建てられています。

 

 

4.石材産地の推移と流通経路の変化

石材の産地についてですが、その昔は運搬技術が進んでいなかったため、お墓はその土地で産出される地元の石材を使用するのが一般的でした。

 

しかし、運搬技術がすすんだ現在では、日本国内の石材だけではなく、お墓に使用される石材の大半を外国産の石材に頼ってるのが現状です。

それらは、中国、インド、ヨーロッパ、北米、南米、南アフリカなど、世界中のあらゆる国から、多種にわたる石材が輸入されており、その中でも、最も多くの割合を占めるのが中国産の石材です。

 

加工技術の発達、人件費の安さなどの理由から、原石の輸入だけではなく、日本で使用される80％以上の墓石が、中国で製品化して日本へ輸入されています。

また、インドやヨーロッパなどの外国産石材だけとどまらず、日本の石までもが、一度中国に運ばれて墓石として加工されてから、日本に逆輸入されているのです。

 

 

5.国産の石だけが良いとは限らない

国産の石材の価格に比べて、外国産の石材が安価であることが多いため、国産の石材は良質で、外国産の石材は質が良くないと思われがちですが、大地の自然の恵みである石の品質においては、一概にそうとは言えません。

 

日本の国土は狭いため、中国などに比べると石材の産出量も少なく、加工費や人件費の違いが価格の差となっている場合があるからです。

 

ただし、中国の石材加工工場でつくられる墓石は、工場ごとに技術力の差が大きく、製品の出来栄えが大きく違ってきます。

信頼できる工場でつられたものなら比較的問題はないと言えますが、極端に値段の安い中国産墓石には注意が必要です。

 

日本と違い、中国には「安くて良いモノ」なんて考え方は存在しないということです。

 

もう一点注意すべきは、中国の多くの石材加工工場で行われている”ごまかし加工”です。

 

本来ならば使えないような石でも、薬品処理、熱処理、着色など、あらゆる方法で”ごまかし加工”を施した墓石が日本に輸入されています。

 

 

6.石材の吸水率と耐久性との関連

石には石種によって、さまざまな性質の違いがあります。

 

墓石に使用する素材を選ぶ際には、値段の高い安いに関わらず、必ずその石の「硬度」と「吸水率」を確認することが重要です。

 

硬度とは鉱物の相対的な硬さを表す数値のことです。

墓石として使用される通称「みかげ石」と呼ばれる花崗岩や安山岩などは、一般的には、硬質で風化に強いと言われていますが、その数値はそれぞれの石種によって大きく異なります。

 

また、吸水率とは石材の「水の吸いやすさ」を表したものです。

 

屋外に建立される墓石は、雨・雪・潮風などにさらされます。

雨に降られた石は、水を吸っては吐き出します。

 

墓石の中に水が浸透することにより、石の表面のツヤ落ちやザラザラ感、色落ちなどの経年劣化が現れてきます。

 

もともと、石は水を吸水する性質を持っていますが、過度に水を吸いやすい石は、寒冷地では凍結しやすく、凍結を繰り返すことにより、ひび割れや錆の原因につながります。

 

雨が降った後、墓石の下部に水を含んだような「シミ」が残り、それがいつまでたっても抜けないようなお墓は、使用している石材の吸水率の高さに原因があると考えられます。

 

吸水率の低い石材は、それだけ高い耐水性を持っているわけで、屋外に建てられる墓石材として適していると言えるのです。

 

7.まとめ

今回の記事は、お墓・墓石に使用する石の選び方「基本のキ」ついて解説させていただきましたが、文字通り「基本のキ」なのです。

 

たとえば、お墓に使用する石を選ぶ際に、石材店には板状の小さな石のサンプルが用意されていることが多いようです。

しかし、石のサンプルだけでは、具体的なイメージがつかみにくいため、できれば、墓石として完成したものを見せてもらいましょう。

 

特に屋外に建立されて、何年か経過した墓石を見ることにより、その石が年月を経て、どのようになるのかがわかります。

とはいえ、一般の人には、石質の最終的な判断は難しいので、やはり専門家の意見を聞いて決めるのが賢明な方法でしょう。

 

売ることばかりを最優先に考えない良心的な石材店であれば、それぞれの石の長所や短所を、はっきりと説明したうえで、お墓に使用する石を予算に応じて、アドバイスしてくれるはずです。

 

すなわち、良い石を選ぶためには「良い石材店選び」が必要だということです。

 

 

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